「ライドシェア解禁」議論白熱も そもそも欧米・中国企業に勝ち目あるのか、という根本疑問【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(16)
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ちまたではライドシェアが話題だ。賛否両論が飛び交うなか、皆さんはライドシェアがどうして誕生したのかご存じだろうか。
ライドシェア利用者は高所得
近年は、フランス政府のように
・地球環境問題
・地方の移動問題
の両方を改善するため、政府が財政支援したカープーリングも生まれている。スマートフォンでマイカー通勤者と移動が必要な人をデジタルでマッチングし、通勤者には1回2ユーロ(20kmまで)が支払われるなど、少額の報酬が政府から支援される。例えば、ラロシェル(人口7万、都市圏人口17万)では、サービス開始からわずか9か月で5300人ほどが利用登録し、3万回を超える利用があったと聞く。
営利型のライドシェア(ライドヘイリング)は、車両、運転手、人(モノ)をデジタルでマッチングするビジネスであり、プラットフォーマーとも呼ばれ、モビリティ産業のゲームチェンジャーとして世界を席巻している。
車両もマイカーだけではなく、リース、レンタカー、自転車シェアや電動キックボードのシェア、鉄道やバス等の公共交通も対象としていることから、これら新種の送迎ビジネスを担う企業を称して、交通ネットワークカンパニー(TNC)と称される。日本にもすでに進出しているUberは、特急列車のチケット、公共交通のチケットなども予約、購入できたりする都市もあり、最近は無人のタクシー(グーグル傘下のWaymo)を呼べたりする。
パンデミック(世界的大流行)前の数字ではあるものの、広く普及している米国での営利型ライドシェア(ライドヘイリング)の利用者は、都市部での利用が中心(地方部や中山間などはほとんどない)であり、利用者の多くは高学歴、高所得、20~30代の人たちだ。年収1000万を超える人たちが利用者の7~8割を占めている。また、他人と乗り合う相乗りのサービスも存在してはいるものの、利用は1割も満たないとも聞く。