「ライドシェア解禁」議論白熱も そもそも欧米・中国企業に勝ち目あるのか、という根本疑問【連載】牧村和彦博士の移動×都市のDX最前線(16)

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ちまたではライドシェアが話題だ。賛否両論が飛び交うなか、皆さんはライドシェアがどうして誕生したのかご存じだろうか。

ライドシェア誕生の経緯

欧州で人気の独自動車陣営が運営するFREENOW(画像:牧村和彦)
欧州で人気の独自動車陣営が運営するFREENOW(画像:牧村和彦)

 ちまたではライドシェアが話題だ。賛否両論が飛び交うなか、皆さんはライドシェアがどうして誕生したのかご存じだろうか。

 米国から誕生したといわれる営利目的のライドシェアは、自動車保有社会からの解放、自動車利用に変わる新しいビジネス、ライフスタイルを提案し、若者やビジネスマンなどを中心に人気を博してきた送迎サービスの一種だ。

 営利目的の送迎サービスを日本では、ライドシェアと表現されるものの、ライドヘイリングと呼ぶのが正しいだろう。Hailing(ヘイリング)は「呼んで迎える」の意味であり、日本語で表記するなら、「配車サービス」がニュアンスとして合いそうだ。このところ、運転手不足の解決策として上記ライドシェアが注目されえているようであるものの、ライドヘイリングは

「運転手不足を解決するために誕生してきたサービスではない」

点は覚えておきたいところだ。

 一方で、渋滞問題や環境問題の解決策として、古くから存在するのが、

・ライドシェア(相乗り)
・カープーリング(同)

だ。

 通勤時間帯では多くのドライバーは2t近い車両にひとりで移動しており、複数で乗り合うことで車両数を削減し、渋滞問題や環境問題を改善していく取り組みであり、行政も支援した施策が世界中で普及している。近年はウェブやスマートフォンなどでマッチングする仕組みも一般的だ。

 さらに、地方都市などの移動問題の解決策としては、例えば

・通勤で郊外から都心まで通勤する人にマッチングサービスなどを利用して相乗りする「ライドシェア」
・地域のボランティアが日常の移動を支える「ボランティア輸送」
・公共サービスとして行政が支える「ダイヤル・ア・ライド」「パラトランジット」

と呼ばれる送迎サービスが欧米では一般的だ。

 日本でも地方の移動問題対策として、交通空白地域における自家用有償運送制度や福祉目的の福祉輸送サービスが普及し定着している。自家用有償運送の分野でも近年はスマートフォンなどでドライバーと利用希望者をデジタルでマッチングする取り組みが、例えば富山県朝日町や兵庫県舞鶴市などで始まっている。

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