ネット上の「EV記事」に批判コメントが殺到する、実に残念な理由
EVシフトに遅れた原因

日本が世界のEVシフトから大きく遅れていることは、多くの人が指摘している。
「EVがこんなに早く市場に広まるとは思っていなかった」
という意見もよく聞かれるが、「チャイナスピード」といわれるように、中国市場はあっという間に中国勢が席巻するようになった。
中国勢のスピードについていけない現状は、いまだにEV批判が繰り返されていることからもわかるように、危機感の欠如が蔓延しているからだと考えられる。中国では、政治的な背景もあるが、EVを疑うことなく容認する風土が形成されたことで急速に普及したのであり、これを見習ってEVに寛容になるべきである。
1980年代以降、日本の自動車メーカーは高品質なガソリン車を次々と世に送り出し、世界の自動車市場を席巻してきた。その数十年後、彼らは「脱エンジン化」を迫られたが、広範なサプライチェーンを持つ日本の自動車業界にまん延する既得権益が足かせとなり、世界の潮流から取り残されてしまった。日本の自動車産業は
「基幹産業」
であり、中国に追い抜かれながら衰退していく未来は何としても避けなければならない。
前述したEVに対する懸念に対応するためには、自動車業界だけでなく、他の幅広い業界も早急に対策を講じる必要があり、日本の産業全体が抱えるさまざまな課題を早急に解決する機運が高まることが望まれる。また、世界的な潮流となりつつあるEVを軸としたライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる態勢を整える必要があるだろう。
目まぐるしく変化する現代社会では、時代の変化を敏感に察知し、迅速に対応していく必要があり、EV批判とエンジン車賛美を繰り返すことは、時代にそぐわず、滑稽にさえ映りかねないことを自覚すべきである。
このような発言を繰り返すうちに、自分たちがさらに時代に取り残される危険性があることに気づいてほしいと切に願う。