京都は「観光公害」を乗り越えられるか? 海外ではもはや“侵略”扱い、日本でも「流入抑制」が必要だ
コロナ感染拡大前の2019年の訪日外客数は、2010年代初頭と比較して4倍近い規模にまで拡大している。そのため、すでに大型観光地ではその弊害が見られている。オーバーツーリズム(観光公害)である。
ある程度「流入抑制」必要
![国籍別7月の訪日外客数対2019年同月比。2019年7月と2023年7月との比較(画像:日本政府観光局)](https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2023/09/230915_over_04.jpg)
円安の恩恵もあってインバウンドは順調な回復傾向にあり、7月の訪日外客数は232万0600人となり、コロナ前である2019年7月の77.6%にまで回復した。国籍別に見ると、中国は29.8%にとどまるものの、円安による割安感もあって、100%を超えて
「コロナ前の水準を上回っている国」
がいくつも見られる。最大マーケットである中国が回復すれば、コロナ前の水準を上回るインバウンド規模となる可能性がある。
観光客の分散だけでは解決できるレベルではなくなりつつあり、量より質の観光のためには
「ある程度の観光客の流入抑制」
は必要となってくる。近年、インバウンドの物理的な動員力である交通機関、宿泊施設はいずれも拡大し続けている状況だ。
コロナ前は海外からの直通便は増便・増席状態で、大量動員できる大型クルーザーの誘致も活発化、さらに空前のホテル開発ラッシュで、動員力の拡大に歯止めをかけるのは難しい。
人気観光地では交通機関や宿泊施設など観光の受け皿が拡充されるほど観光客の流入が拡大し、地元への負担は増える。結果として、観光地としての評価を下げることにもつながる。入域税のような課税や開発抑制を検討することも必要かもしれない。
観光業を成長産業と位置付けている日本では、観光客の増加による弊害は避けられない。地元住民と観光客いずれにも有益にコントロールしていくことが望まれるところだ。国民の豊かさの価値が経済の豊かさだけでなくなってきていることも考慮すべきだろう。
今後、日本の持続可能な観光のために、国内の大型観光地にむけて国が示すオーバーツーリズム対策に注目したい。