京都は「観光公害」を乗り越えられるか? 海外ではもはや“侵略”扱い、日本でも「流入抑制」が必要だ

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コロナ感染拡大前の2019年の訪日外客数は、2010年代初頭と比較して4倍近い規模にまで拡大している。そのため、すでに大型観光地ではその弊害が見られている。オーバーツーリズム(観光公害)である。

海外は観光重視から「住民重視」へ

訪日外客数(画像:日本政府観光局)
訪日外客数(画像:日本政府観光局)

 京都に限ったことではないが、タクシーやホテルの不足も問題化している。

 2010年代後半からインバウンドの急増によってホテルが満室で予約できないことが全国的に起きており、急な地方への出張が決まってもホテルがないなど、実際に影響をこうむった人も少なくないだろう。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えていたこともあって、2018年ごろからはすべての宿泊業態において、観光のピークシーズンでなくとも宿泊料金がかなり強気に高騰しはじめ、気軽に宿泊できる宿泊施設が少なくなっていた。

 国によって事情も異なるため観光の影響は一概には比較できないが、海外の大型観光地におけるオーバーツーリズムは激しい状況となっている。経済政策として観光客の受け入れを促進してきたスペイン・バルセロナでは、観光客のマナー違反などを背景に住民と観光客のあつれきが高まり、

「これは観光ではない、侵略だ」

と市民の反対デモが発生、“反観光”の動きが加熱した。その他の国でも、これまで観光が地域経済をけん引してきた大型観光地において、観光客に対して嫌悪を感じる住民が増えている。

 海外ではオーバーツーリズムの対策として観光客の流入を抑制する政策をとっており、

・ホテルなどの観光施設の開発規制
・観光客への税を新たに設定、もしくは増額する施策

を実行している。

 大量の観光客による環境汚染などから国連教育科学文化機関(ユネスコ)に危機遺産と認定されているイタリア・ヴェネチアでは、5ユーロ(約800円)の入域税を2024年から試験的に導入することを検討している。そのほかにも、

「観光重視から住民重視」

の政策へ変更し、観光プロモーション活動を控える国も出ている。

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