観光公害の救世主? 地元に精通した「観光タクシー」こそ、地域活性化に欠かせない存在である
地域活性化につながる観光産業

観光タクシー業界の多くは、地元の知識やホスピタリティを生かすために、地元の名所のガイド付きツアーを売りにしている。これにより、旅行者は地元の視点から名所を案内されることで、より深い理解と共感を得ることができる。
経済広報センターの調査によると、「観光産業の推進が、地域の活性化につながると思いますか」という質問に約9割が
「大変そう思う」
「そう思う」
と回答している。しかし一方で、こんな問題もある。
沖縄県には「ちゅら島沖縄観光タクシー」(正式名称:沖縄観光タクシー乗務員資格認定制度)という、観光案内ができるタクシードライバーを養成する制度がある。しかし、この制度は
「外国人旅行者を想定していない」
「売り上げ増加やタクシー乗務員の所得向上に結びつく制度になっていない」
などといった課題点が指摘されているのだ。
背景に「MaaS」推進あり

これらの問題をひとつでも解決するために、さまざまなプランが提案されている。
例えば、近年ではインバウンド対策として、外国人ドライバーを積極的に雇用する企業が続々と増えている。島根県もJALの客室乗務員が観光タクシーの添乗員を務めるプランを打ち出している。アニメの舞台となった“聖地”をタクシーで巡るパッケージツアーも販売されるなど、観光タクシー業界も活況を呈している。
その背景には、日本における「MaaS」の積極的な推進がある。MaaSとは、個人の移動ニーズに応じて最適な公共交通サービスを組み合わせるとともに、検索・予約・決済サービスを一括して提供するサービスである。具体例としては、
・地元のバスもしくはタクシー乗り放題の特典
・地元の施設で使えるクーポン券の付与
・決済を一括でキャッシュレス支払い
などだ。
これにより、旅行者は柔軟に移動手段を選択できるようになり、観光需要の喚起が期待される。また、旅行者の増加は、ホテルや飲食業など地域の他の産業にも波及効果をもたらすだろう。
このように、観光タクシーの需要拡大は、観光産業全体の成長につながる要因のひとつとして注目されている。持続可能な観光というビジョンを実現するためには、
・旅行者にとっての利益
・地元文化と地元経済
を調和させることが重要である。観光タクシーはこのバランスを実現する上で重要な役割を担っており、その需要は今後も着実に伸びていくだろう。