ゴルフカートが「離島」で現在大活躍、いったい何があったのか?
2010年から2015年にかけての人口増減率は、全国が0.8%減であるのに対し、離島地域は9%減となっている。高齢化率は全国が27%であるのに対し、離島地域は39%だ。高齢者の歩行能力の低下を背景に、移動手段の確保が重要となっている。
グリスロの優位性

2010年、石川県輪島市で、温室効果ガス削減を目的としたクリーンエネルギー利用や交通問題を背景に、国内初のナンバープレート付きゴルフカートの運行から、グリスロの歴史は始まった。
輪島市の最初の事例では、グリスロは「ゆっくり・余裕・近くまで」の移動手段であり、次のようなポイントがあった。
・時速20km未満の走行車両:道路運送車両法が一部緩和される
・電動車の活用:クリーンなエネルギーを活用
・小さな移動サービス:短距離の細かい移動サービス
時速20km未満で走行する車両は、道路交通法上の規制が一部緩和されており、窓がなくてもよく、景観を楽しめる。また、電気自動車のようなクリーンエネルギーの利用は、ガソリンの供給手段が乏しく、短距離走行が必要な離島に最適である。
一方で、グリスロは低速交通モデルをベースにしているため、交通量の多い地域での導入は慎重に検討しなければ、
「走行車に支障をきたす」
可能性が指摘されている。また、利用者が少ないケースも多く、収益事業としての事業モデルの維持を考えた場合、その継続性も課題となる。
その点、離島は交通量が少なく、路地も狭い。大神島のような離島の交通モデルとして、ゴルフカートが最適解であると主張されるゆえんである。また、残された課題である持続可能な事業モデルに関して、大神島はどのように課題に対応したのか。キーワードは
「住民の相互協力」
だ。