「入国手続」のオンライン化で気づいた、結局最後は「アナログ対策」が重要なワケ

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入国審査のオンライン事前手続きは、国際的ビジネスやインバウンド業界にどのような効果をもたらすのか。

「入国審査 =面倒」を解決

入国手続オンラインサービスのイメージ(画像:デジタル庁)
入国手続オンラインサービスのイメージ(画像:デジタル庁)

 長かった「コロナ鎖国」が終わり、インバウンド(訪日外国人)業界やグローバルビジネスの世界にもいよいよ活気が戻ってきた。海外旅行を予定している人も多いのではないだろうか。商用、レジャー、留学など、目的が何であれ、海外渡航はテンションの上がる。

 その際、避けて通れないのが入国審査だ。入国審査の列に並ぶとストレスを感じる人も多いだろう。乗り継ぎ便を逃したり、予定している電車やバスに乗れなかったりと、不運な事態も起こりかねない。そんななか、世界中の空港で起こっているこの状況を解消すべく各国が導入しているのが、オンラインでの事前入国審査システムだ。

 日本には「Visit Japan Web」というオンライン入国手続きサービスがある。2021年にデジタル庁が開始したサービスだが、Visit Japan Web導入に至った背景には、コロナ禍での検疫対応がある。

 陰性証明書やワクチン接種証明書などの確認に相当の手間と時間を要したため、この検疫手続きを事前にオンラインで行って短縮するファストトラック制度が導入されたのだ。その実行手段として採用されたのが「My SOS」というアプリだが、「My SOS」は携帯電話やスマートフォンへダウンロードが必須。コロナ感染の追跡アプリのダウンロードも同時に求められていたため、

「アプリをいくつもダウンロード」
「何をどう入力するの」
「重要な個人情報を入力して大丈夫」

と、ちゅうちょする声や疑問がインターネット上で噴出した。

 外国人にとっての使い勝手も微妙だった。入国や検疫に関する情報が日々更新され錯綜(さくそう)するなか、他国(= 日本)のアプリをダウンロードしろといわれても、自分のスマートフォンを日本で使えない外国人にはハードルが高かった。水際対策の終了とともに「My SOS」もその役割を終え、その機能を引き継ぎ利便性を高めたVisit Japan Webの運用が開始されたのだ。

 Visit Japan Webは、携帯アプリではなくウェブサービスなので、インターネット環境さえあれば世界中のどこからでも無料で利用できる。外国人に求められる「外国人入国記録」も入力可能だ。

 また、税関申告に対応しており、入国の際に必要な手続きをすべて事前に行えるようになっている。連携している免税店での買い物もその場で免税情報が入力できるので、インバウンド来訪者や外国出張する日本人ビジネスパーソンにとって、かなり利便性の高いサービスだといえる。

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