「大阪・関西万博」 国民の共感を得るにはどうしたらいい? パビリオン開発だけじゃない、その“意義”について再考する
愛・地球博でのトヨタパビリオン
21世紀最初の万博であった2005年日本国際博覧会(愛・地球博、愛知万博)は強く印象に残るようなインパクトのあるモビリティはなかったが、環境に配慮したモビリティが多く導入された。
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天然ガスを燃料とした大型低公害バスを使用、北ゲートから EXPOドーム間では専用道路で自動運転を実施。そのほかにも、燃料電池とニッケル水素電池で排ガスの代わりに水を排出する環境配慮型ハイブリッドバス、電気自動車のグローバルトラムなど、SDGsがいわれる今から思えば、脱炭素の先駆的な取り組みだったといえる。
印象に残っているのはトヨタのパビリオンである。長く景気が低迷していた時期の開催であり、企業パビリオンへの国内企業の参加が危ぶまれたが、地元を代表する企業のトヨタグループは、21世紀の「モビリティの夢、楽しさ、感動」をテーマに、ひとり乗りのコンセプトビークル「i-unit(アイユニット)」、搭乗歩行型ロボット「i-foot(アイフット)」とパフォーマーによるモビリティ・パフォーマンス・ショーを行った。
i-unitは「人間の拡張」というコンセプトに基づいており、アクセルペダルやハンドルなどがなく、簡単に加減速と操舵(そうだ)を行えて思いのままに運転することができる。さらに、コンパクトなボディで消費するエネルギーも少なく、駐車スペースもとらない。人を包むこむ近未来的なデザインが目を引き、メディアにも多く露出し、愛・地球博の象徴的な存在となった。愛・地球博は「自然の叡智」をテーマに、ガーデニングなど誰でも親しみやすい展示が見られ、185日間の会期で予想来場者数を上回る2205万人を集客した。
今回の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。同万博では会場内外のポートをつなぐ手段として「空飛ぶクルマ」の運行を予定している。空飛ぶクルマとは、モーターとバッテリーの電動推進、垂直離着陸などの技術による新たな空中飛行モビリティ。未来の都市交通として期待されている。