率直に言う 運送業界の「多重下請け」は必要悪である
政府は運送業界の多重下請け構造にメスを入れるつもりだ。SNSでは、賛同する運送従事者も多く見受けられる。しかし、これは本当に政府が目指す物流革新へとつながるのだろうか。
「親請け = 中抜きだけ」は間違い
B社の営業所長は、荷主の本社がある仙台まで毎月足を運び、業務報告を行い、荷主との関係性を保つ努力をしている。A社が貨物事故を起こしたときも、事故報告書の作成を放り出したA社社長に代わり、事故報告書作成等の後始末を行ったのはB社の配車担当者である。
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「『なぜなぜ分析』とかって意味がわからないです。あんなこと、なんの役にも立ちませんよ。こっちは必死に謝っているのに認めてくれないんだから……」
A社社長は愚痴るが、貨物事故の後始末は、子どものけんかとは違う。謝罪すれば済む話ではなく、再発防止策をきちんと講じるのがビジネスというものだ。また、なぜなぜ分析はたしかに面倒だが、少なくとも荷主が求める以上、それに応えるのも仕事を請けた立場の義務である。
「どうせ紹介するんだったら、直荷主の仕事を紹介してほしいです」
そう逆ギレするA社社長に、筆者はさすがにあきれてしまった。
「直荷主の仕事をするためには、あなたが無駄だといったことをひとつひとつ積み上げて、信頼関係を築く必要があるんです。それができるようにならないと、直荷主の仕事なんてできないですよ」
私の言葉に、A社社長はいい放った。
「運送会社の仕事なんて、トラックとドライバーがいればどうにかなるもんですよ」