三条タクシーSNS炎上の教訓 公式アカの無邪気な「性的投稿」防止するには、ガイドライン作成とエゴサ徹底で対応だ
SNS戦略の功罪

近頃は、企業のSNSのカジュアル化が進んでいる。あたかも個人アカウントのような言葉遣いや気安い反応は、以前には考えられなかったほどだ。それが
・面白み
・親近感
を生む――というのが、企業のSNS戦略のトレンドとなっている。
若者はSNSに慣れているし、今までのような堅苦しい投稿はウケないだろうと、若手社員がSNSを担当しているところも多い。小さな企業では、上司や同僚に確認することなく、ひとりで管理していることも珍しくない。
SNSの魅力は、投稿者が個人や小さな企業であっても、話題になれば広告宣伝費なしで広く知られる可能性があることだ。その反面、問題があって投稿が炎上すれば、驚くほどの速さで拡散されてしまう。
ジェンダー関連の投稿を考える場合、例えば今回のように男性が圧倒的に多い職場では、女性の扱われ方が世間一般とずれている可能性がある。職場全体がずれていれば、上司のチェックすらすり抜けてしまう。
SNSのガイドライン作成を

三条タクシーの場合、インターネット上では
「アカウント担当の社長がワンマンで、他の社員が口出しできない状態だったのでは」
という憶測が流れた。非難が集まった女性ドライバーは10万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーであるため、仮に投稿内容が性的で問題だと感じた社員がいたとしても、反響があれば、それが社内では「正義」になっていた可能性がある。
特に同社は社内SNSのガイドラインを作成し、その第1歩としてセクハラや性的な投稿の禁止を盛り込む必要があるだろう。
タクシー業界は高齢化が進んでおり、女性ドライバーのボリュームは45歳から75歳まである。三条タクシーの場合、ルッキズム、エイジズムと指摘されることを避けつつ、女性ドライバーの活躍をうまくアピールするような運営が望まれる。
いずれも啓発が必要だが、社員教育も小さな企業では不十分なこともある。三条タクシーの従業員数は33人(ウェブサイト情報)。男性中心の業界なのだから、タクシーの業界団体が主導してはどうだろうか。
そもそも日本はジェンダーギャップ指数で世界125位(2023年)なのだから、国民的な啓発やメディアによる良しあしの基準作りなど、根本的な改善を目指す必要がある。