EV大量廃棄 中国の都市部で「EV墓場」が増え続ける根本理由

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中国では2019年以降、大量のEVが廃棄される「墓場」が存在することがたびたび報じられており、ユーチューバーによるドローン空撮映像も流出している。「墓場」が生まれた背景を追う。

環境面への影響も

自動車の「墓場」イメージ(画像:写真AC)
自動車の「墓場」イメージ(画像:写真AC)

 一方で、「墓場」による環境負荷は避けられない。

 バッテリーの製品保証期間は5~8年で、2010年代半ば頃から使用されているEVバッテリーは耐用年数を迎えている。こうしたバッテリーを搭載したEVが放置され、大量に廃棄され続ければ、環境への影響は避けられない。

 懸念されるのは、コバルトやニッケルなどの重金属、土壌や水、大気を汚染するマンガン、劣化によって発生するフッ化水素などの有害物質である。EVバッテリーから有害物質を除去し、安全に廃棄する技術の確立が急務である。

 実は、シェアサイクル分野でも「墓場」と似たようなケースが起きている。2018年、大手企業から出資を受けてシェアサイクル事業を展開していた複数の企業が、今回のケースのように倒産に追い込まれ、数千万台の自転車が埋められた「墓場」が出現した。

 こうしたEVや自転車の「墓場」は、中国において無秩序に調達された資金による、

「制約のない資本主義の象徴」

であるともいえる。資源の無駄遣いの行き着く先は富の損失であり、環境破壊だけが残る、何とも後味の悪い結果である。

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