コロナ禍が生み出した「新たな観光スタイル」 ワーケーション・マイクロツーリズム・ステイケーション、今後も残るのはどれだ?

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観光産業は活況を取り戻しつつあるが、そうなると気になるのはコロナ禍で生まれた「新たな観光スタイル」の行方である。

市場回復でマイクロツーリズムに影響

年代別ワーケーションの実施希望。第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(画像:内閣府)
年代別ワーケーションの実施希望。第5回新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(画像:内閣府)

 マイクロツーリズムは、1時間~2時間圏の地元商圏を対象にした観光のことだ。

 コロナ禍で遠距離からの観光客が望めなくなり、観光業界や自治体で提唱された。マイクロツーリズムでは地域住民のきめ細かい観光視点が加わることによって、見落としがちだった新たな魅力が開拓されると考えられている。オーバーツーリズム(観光客の急増によるゴミ増加などの弊害)もいわれはじめ、地元への観光回帰が重要なことが強調された。

 地方自治体では県民や市民を対象に地元観光地の宿泊施設の費用補助を行ったり、クーポン券を配布したりして、地元住民の観光を喚起する施策を活発化させた。

 観光業界も足元の観光地を見直してもらうためのツアーや宿泊プランなどの取り組みを強化。それによって見過ごしがちだった地元観光地の良さを改めて知った住民も少なくない。

 しかし、市場が回復してきた今、マイクロツーリズムは聞かれない。観光産業は業績回復のために大都市圏・インバウンドを優先するし、利用者も遠方への旅行を優先するだろう。

 とはいえ、地元マーケットの重要性を提唱していただけに、需要が戻ったからといって断ち切れてしまうのは残念だ。改めて長期的な視点での取り組みを期待したい。

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