韓国&台湾の「邦人救出」が極めて難しいワケ 4月スーダンの比ではない

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日本周辺の北東アジアでは、北朝鮮や中国が軍事行動を起こした場合、韓国や台湾などにいる日本人をどのように救出するかが議論されている。

政治的な問題も関係

北東アジア(画像:写真AC)
北東アジア(画像:写真AC)

 そして、韓国と台湾の場合には政治的な問題も関係する。2022年に韓国では尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足し、日韓関係は改善へと向かっている。しかし、韓国内では日本に対する警戒心は依然として残っている。自衛隊が韓国内に入ることは救出目的としても困難といえよう。

 台湾の場合は、韓国とは違う難しさがある。そもそも、日本政府は台湾を国家として認めていない。1972(昭和47)年に日中国交正常化が図られて以降、日本政府はひとつの中国原則を守ってきた。もちろん、台湾有事、中国が台湾に武力侵攻をしたら、日本政府も方針転換を図るだろう。

 しかし、その他のケース、例えば台湾内の親中勢力と台湾政府との内戦が開始されるなど、中国が表に出ないで裏から工作したならばどうだろうか。台湾と日本が直接交渉すると、中国政府は常に反発してきた。そして、日本政府も慎重に対応を行っている。それは米中対立が激化した現在でも変わっていない。こうしたなかで、邦人保護についての話し合いができるのだろうか。

 スーダンやアフガニスタンのケースと比べて、韓国や台湾からの邦人救出は、距離が近いとはいえ、かなりの困難を含んでいるといえよう。

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