カーナビの代わりに「ディスプレーオーディオ」を選ぶ人が増えた、実にもっともな理由
現在販売されているクルマの多くは、純正オーディオが装着されていない“オーディオレス”となっている。近年ではカーナビ以外のディスプレーオーディオの選択肢も増えてきている。
自動車メーカーとディーラーの思惑

次に、販売側の視点からの評価と思惑を見ていく。メーカーの視点と、エンドユーザーにクルマを届けるディーラーの視点から解説する。
●製造コストの削減
2000年代初頭まで、日本で販売されるほとんどのクルマには、ラジオやCD、MD、カセットテープなどのエンターテインメント機器を含む「純正オーディオ」が標準装備されていた。しかし、カーナビの普及により、新車購入時に純正オーディオは意図的に取り外され、カーナビと交換されるようになった。純正オーディオはゴミとして処分されるようになった。
ディスプレー・オーディオの導入は、廃棄物を減らすだけでなく、オーディオの製造コストは大きな負担となるため、メーカーにとっては好都合なのである。
●利益の確保
ディーラーはクルマを売るだけでなく、用品(ディーラーオプション)の装着でも利益を上げている。製造時に装着されるオプション(メーカーオプション)と、販売店で装着するディーラーオプションを比較すると、後者の仕組みの方が収益性が高い。
純正オーディオがクルマに付いていない場合は、カーナビやディスプレーオーディオをクルマとセットで販売することで、売り上げ・利益を伸ばすことができる。カーナビを買い控える顧客には、カーナビよりも手頃なディスプレーオーディオをオプションとして提供することで、価格帯の幅を広げ、売り上げをアップできる。
このように、クルマのオプションひとつとっても、考え方次第でさまざまなメリットがある。ディスプレーオーディオは、エンドユーザーは低価格を享受し、メーカーは生産コストを削減し、ディーラーは販売利益を向上させるという、まさに「三方良し」の商品なのだ。