「周囲が全然見えない」 まぶしすぎる“LEDヘッドライト”にネットで懸念の声、EVの9割以上に搭載 これからの対策を考察する
LEDヘッドライトの対策と今後の展望

LEDヘッドライトのまぶしさに対する対策としては、いくつかのアプローチが検討されている。
まずLEDヘッドライトの輝度を制限することで、対向車への影響を軽減する試みがある。道路交通法では特に制限されてないものの、光の色合いを示すケルビンでいうと、昼間の太陽光に最も近い6000~7500ケルビンあたりが、車検に通りやすいとされている。それ以上高い数値のLEDでは、より青く光るように見えてしまい、
「ヘッドライトは白色」
という規則に違反するため、検査官によっては不合格となることが多い。
さらに各メーカーではアダプティブヘッドライトをより進化させ、特殊なレンズや反射板を使用して光を拡散させる方法を搭載したLEDヘッドライトを採用する車種も登場。今後も、他の道路利用者の視界や安全に配慮したLEDヘッドライト設計が求められる。
また、LED技術の進化によってまぶしさの問題が解決できる可能性もある。具体的に挙げると、ポルシェは、左右のハイビームの光量を調整できる「HDマトリクスLEDヘッドライト技術」を発表し、2023年発売の新型車に導入予定だ。
さらに日本の市光工業(神奈川県伊勢原)は、独自の「HDライティング」技術を発表。これは、光を数万ピクセルに分割し個別に制御することで、より事細かく光量を調整できるものである。このように、より洗練された光学技術や自動制御システムの導入によって、LEDヘッドライトの明るさを維持しつつ、まぶしさを最小限に抑えることが期待される。
LEDヘッドライトのまぶしさは、明るさと安全性の向上というメリットとともに、運転者や歩行者にとっての懸念材料となっている。対向車からのまぶしい光が交通事故のリスクを高める可能性や、夜間の歩行時に不便を引き起こす可能性があるため、自動車メーカーや関連団体、規制当局などが連携し、安全性を確保するための対策を進めていくことが求められるだろう。