「周囲が全然見えない」 まぶしすぎる“LEDヘッドライト”にネットで懸念の声、EVの9割以上に搭載 これからの対策を考察する
ヘッドライトに関する規制とネット上の声

日本では、道路交通法に基づいて、ヘッドライトの輝度や角度に厳格な規制が設けられている。一部を紹介すると、日本の保安基準198条では
・ヘッドライトは白色および淡黄色
・1灯につき6400カンデラ以上
・ハイビームにした状態で、2灯式では1万5000カンデラ(※4灯式は1万2000カンデラ)以上
・ハイビームは最大で43万カンデラまで
といった決まりがある。ちなみにカンデラとは、光の強さを表す数値のことだ。ヘッドライトを壁に照らし、一定数の光度を計測する専用のテスターが用いられる。
さらに、光の角度についても規制がある。ロービームに設定した際、歩行者を照らしやすいように、カットオフライン(上方向を照らす光をカットする箇所)が右上になるようにしなければならない。加えて、「基本的にはハイビームで走行し、すれ違い等の場合によってはロービーム(すれ違い用前照灯)に切り替える」ことも義務付けている。
これらの規制はすべて、光が過度に上向きに放射されることを防ぎ、他の道路利用者の視界をできるだけ遮らないための重要な措置となる。そのため近年では、ハイビームとロービームを状況的に自動で切り替える、もしくは照射範囲を狭くするアダプティブヘッドライトを採用する車種も多い。
しかし、このアダプティブヘッドライトがうまく機能せずに、かえって幻惑させてしまうケースも。加えて現段階では、LEDヘッドライトの光量を制限する法律が存在しない。とはいえ、暗闇で危険が伴いやすい夜間を走行する状況も考えられるため、交通安全を優先して積極的に採用するメーカーが多い。
ちなみに、現段階では「LEDヘッドライトがまぶしすぎて、視界不良になり事故を起こした」という報告は見つからなかったが、インターネット上ではLEDヘッドライトのまぶしさに対する不満や懸念が多く見られる。
例えば、
・運転中に対向車からの光が目に入ることで運転が困難になる
・夜間の歩行時にまぶしい光で視界が遮られると、周りが一切見えなくなるので怖い
という声が広がっている。
LEDヘッドライトはまぶしすぎるというデメリットがあるものの、従来のハロゲンランプよりも明るく、夜間の安全走行につながりやすい一面があるのも事実。そのため、一概に
「LEDヘッドライトを撤廃するべきだ」
といえないのが現状だ。