トラック運転手の最大の敵? いまだに残る因習「バラ積み」を撲滅させる、決定的な方法とは

キーワード :
,
最近、物流効率化を報じるインターネットニュースが増えているが、そのコメント欄でよく見かけるのが、「いくら効率化をうたっても“バラ積み”が変わらないと意味がない」といった意見だ。

バラ積みは持続可能か

フォークリフト(画像:写真AC)
フォークリフト(画像:写真AC)

 このように、表面的にはコスト削減になるように見えなくもないバラ積みだが、考えるべきは、このようなドライバーを酷使するような物流が、

「これからの日本で成り立つか」

ということだ。

 統計データを見ると、ドライバーの主たる担い手は、40代後半~50代前半の世代である。この年齢層はいわゆるロスジェネ世代に相当する。この年代は毎年の出生数が(一時は)200万人を超えるほどに多いのだが、この膨大な数の若年労働者が90年代以降、毎年、労働市場に輩出されたのである。

 ところで、このような若年労働力の急増は、「人口ボーナス」といって経済全般に大きなプラス面の影響をもたらすことが知られるが、その反面で、労働者を安い給与で酷使することを可能とする側面もある。

 近年の東南アジア諸国の急速な成長は前者による恩恵を強く受けたものだが、一方、日本経済の「失われた30年」は、後者の側面がより強く反映したものであった。トラックのバラ積みを始めとした、過剰なサービスが成り立った背景には、

「豊富な若年労働力を安価に利用できる」

という、人口構成上のマクロ要因の存在を無視できないのである。

全てのコメントを見る