「訪日中国人」のマナーにネット民怒り心頭も 昭和時代の日本人も似たことをしていた、不都合な真実

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日本人もかつては海外旅行のマナーが悪かった。よく引き合いに出されるのは、高度成長期から1980年代にかけての振る舞いだが、本当にこの期間だけだったのだろうか。

海外旅行の自由化と日本人

成田エクスプレス(画像:写真AC)
成田エクスプレス(画像:写真AC)

 日本人の海外旅行マナーの悪さが本格的に指摘されるようになったのは、前述のとおり、高度経済成長期と海外旅行の大衆化以降である。

 日本で海外旅行が盛んになったのは、1964(昭和39)年4月に外貨の持ち出し規制が緩和され、海外旅行が自由化されてからである。当時、ハワイへの団体旅行は7泊9日、全食事付きで36万4000円。当時の大卒新入社員の1年半分だったが、貯金をすれば海外旅行も夢ではなくなったのは確かである。

 また、自由化されてからは、ジャンボジェット機の就航で旅費が安くなった。これにより、当時20代だった団塊の世代を中心に一種の海外旅行ブームが起こり、1964年に22万1309人だった日本人の出国者数は、1970年には

「500万人」

を超えた。実に23倍である。

 このブームは、「日本人が世界に恥をかき捨てる」という弊害をもたらした。特に日本人旅行者が問題視されたのはアジア諸国であった。大挙して押し寄せ、ブランドショップや宝飾店で「爆買い」し、夜遊びを求めた。

 1973年に角川書店から出版された筒井康隆の小説『農協月へ行く』では、高価なブランド品を身につけた土地成り金たちが旅に出る。知人の世界一周旅行に対抗して、彼らの目的地は月である。

 そこで不謹慎な振る舞いをする。この映画はSF作品に置き換えられているが、当時の日本人の海外でのマナーを皮肉ったもので、半分は真実である。

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