「中国人団体旅行」解禁も “爆買い”頼みはもう時代遅れである

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コロナ禍以前、中国人観光客は訪日外国人の3割を占める最大市場だった。その回復につながると、旅行業界からの期待は大きい。しかし、日本がかつての人気を取り戻すには、越えなければならないハードルがまだある。

日本が出遅れる危険性

2019年の中国人の渡航者数(万人)。香港・マカオ・台湾を除く(画像:日本政府観光局)
2019年の中国人の渡航者数(万人)。香港・マカオ・台湾を除く(画像:日本政府観光局)

 日本は2010年から中国人の個人観光ビザ発給要件を段階的に緩和しているが、それでもハードルは高い。

 個人観光ビザを取得するには、在中国日本大使館または総領事館が認可した旅行代理店を通じて申請する必要があり、その手続きはかなり煩雑である。

 もちろん、団体旅行でもビザ申請は必要である。違いは、個人旅行の場合は「経済力確認書類」が必要なことだ。

 在日本中国大使館によると、具体的な要件は次のとおりだ。

1.国際クレジットカード(銀聯カード含む)の「ゴールド」以上、当該カードの有効性を確認できる書類
2.在職証明(役職、在職期間、給与額(年収))及び年収が確認できる書類(銀行明細(直近6か月分)など)
3.資産形成が確認できる書類(退職金証明書、不動産証明書、株の配当金証明書など)

 ちなみに、中国が相互ビザ免除を実施している国は、世界で137か国ある。2023年、団体旅行の解禁が報じられて以来、ラオスやタイへの中国人観光客が増えているのはこのためだ。煩雑なビザ申請手続きが改善されなければ、日本が出遅れる危険性は十分にある。

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