ドラレコ依存社会に潜む罠! 「絶対安全」という自覚なき勘違い、その正しい付き合い方を考える

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自分の身に降りかかってくるかもしれないアクシデントへの対応として、ドライブレコーダーはもはや欠かせない車載機器になりつつある。一方、取り付けたばかりに“妙な安心感”を生んではいないか。

ドラレコ装着が見送られてきた理由

あおり運転のイメージ(画像:写真AC)
あおり運転のイメージ(画像:写真AC)

 こうした特徴を持つドライブレコーダーだが、現状ではその映像をどう活用するかは

「所有者の意思」

に任されている。

 撮影した映像を保存するのはもちろん、場合によってはSNSへ投稿することも可能だ。実はここにひとつの問題が発生する。単なる風景だけなら問題にはならないが、やっかいなのはそこに

「人が映り込んでいる」

場合だ。人には肖像権があり、勝手に撮影されてネット上で拡散されては困る場合も当然ある。

 実はそういった問題から、自動車メーカーはドライブレコーダーのライン装着をちゅうちょしていたのだ。最近のクルマには先進運転支援システム(ADAS)用としてカメラは装備されており、このカメラを活用すれば新たにカメラを追加することなくドライブレコーダーとしての機能を発揮できたはずだ。

 しかし、自動車メーカーはかたくなにドライブレコーダーのライン装着を見送ってきた。そこには、万一、肖像権で問題が発生した際に

「自動車メーカーが撮影に加担した」

とされることを恐れていたのだ。

 そんな矢先、そんななかでトップを切って動き出したのがトヨタだ。まず2020年6月に登場したハリアーに「録画機能付デジタルミラー」(このときは音声記録ができないなどの理由でドライブレコーダーとは呼んでいない)という形でライン装着を開始し、同年7月に登場した新型クラウンでは、ついにADASカメラを活用したドライブレコーダーの搭載を実現。それ以降、新型シエンタや新型プリウスにも同様のシステムを搭載してきたのだ。

 この動きを知ってかどうかは不明だが、日産もセレナに専用カメラを用意して、日産としては初めてとなるライン装着のドライブレコーダーを搭載。これによって、ドライブレコーダーによって視界が妨げられなくなるメリットも生まれる。おそらく、今後の新型車にはドライブレコーダーはライン装着で標準装備されるか、あるいはオプションで選択できるようになるのは間違いないだろう。

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