雪道でも高いグリップ! トーヨータイヤがトラック・バス用スタッドレス「M939」発売、「効き」「持ち」両立強み
1日の降雪量は増加
国内大手のタイヤメーカーTOYO TIRES(トーヨータイヤ)は8月1日、トラック・バス用スタッドレスタイヤ「M939」を国内市場にて発売した。17.5、19.5、22.5インチ径を用意しており、中型・大型トラックに装着が可能な全13サイズが設定されている。
「M939」は、2013年に発売されたトラック・バス用スタッドレスタイヤ「M929」の後継モデルに位置する。「M929」においても、発進力・制動力・旋回性能・耐摩耗性能・低メンテナンス性といった項目において、高い性能とバランスを誇っていたが、「M939」ではさらなる性能向上を図っている。
中でも重視された性能が「効き」と「持ち」の両立だ。
国土交通省による調査では、近年の気候において1日に降る平均降雪量は増加傾向にあるという。そのため、日夜走り続けているトラック・バス用のスタッドレスタイヤでも、氷雪路でより「効く」タイヤの開発が求められるようになっている。
冬季トータルでの累計降雪量は減少中
しかし1日あたりの降雪量増加に反し、累積の降雪量はむしろ減少傾向にある。そのため、スタッドレスタイヤが乾燥路面を走行する機会が多くなり、それに合わせてタイヤの摩耗も増えてしまっているという。スタッドレスタイヤには「効き」のみならず、耐摩耗性という「持つ」性能もますます必要とされているのだ。
さらに、ドライバーの時間外労働時間の上限が引き下げられる2024年問題、ドライバーの高齢化・人材確保などの労働力不足といった、運輸・運送業界が抱える慢性的な問題に対しては、M939は「低メンテナンス性」で対応する。同社では、長持ちするタイヤ=「手がかからない低メンテナンスなタイヤ」により、トラックやバスでは避けられないタイヤメンテナンスに関わる人件費や作業時間、さらにはそれを担当する人員の削減を加速できる、と説明している。
ではどのようにして同社は、「効き」と「持ち」の両立を「M939」に持たせることができたのだろうか。
「効き」と「持ち」を高次元で両立させたバランス型スタッドレスタイヤ「M939」
「効き」を向上するための方法として、「M939」ではタイヤのパターンデザインに工夫が施されている。アイス路面でのエッジ効果を高めるために、ブロック内に波型のサイプを高密度で配置し、サイプの総延長を従来モデルの「M929」比で13%も増やした「高密度ウエーブサイプ」を採用。
スノー路面やシャーベット状の路面での性能確保には、雪の目詰まり防止が図れる幅広い主溝が彫られた「ワイドメイングルーブ」が担っている。
「持ち」に関しても新機軸が盛り込まれた。接地圧力が高いセンターブロックの幅を「M929」比で20%広げ、接地幅方向の圧力を均一化した「ワイドセンターブロック」は偏摩耗を抑制する効果があるとのこと。ブロックを大型化して周方向に連結し、ブロックが路面に接地した際に起こる動きを抑える「周方向連結ブロック」は、偏摩耗や耐摩耗性・低メンテナンス性を向上させ、前後剛性は「M929」から36%も強化されているという。
その結果「M939」は、「M929」に対してアイス路面での制動性能が4%、耐摩耗性能で推定摩耗ライフが7%向上し、さらに偏摩耗の発生は45%も低減した、というデータも公開されている(いずれも同社テスト値)。