「お金払わない」「会社に電話するぞ」 タクシードライバーに浴びせられるカスハラ暴言の数々、8月1日“名札廃止”の裏側事情とは
街なかでタクシー業務を行っていると、ときどき、タクシー側から見て「その苦情は過剰ではないだろうか」と首をかしげたくなる場面に遭遇することがある。
事態はエスカレート
その後、局長は運転席を力強く蹴った。怖くて無視を決め込んでいると、再び運転席を蹴り、安全ボードさえもひん曲がるほどだった。大声で怒鳴り散らし、騒ぐこともあった。少しの間は様子を見ながら走ったが、運転席が蹴られると、安全な運転が困難になる。
次には隙間に手を入れ、筆者の左腕をつねり引っ張ろうとした。その行為は続いた。高速道路でこれが行われると非常に危険だ。他人から見ても明らかな暴力行為だ。筆者は走行中でも運転を続けるのは危険だと判断し、次の出口で一般道に降りた。
筆者は車を止めて、局長の腕を引いて外に出てもらうようお願いした。局長は戸惑いながらも
「お前は暴力を振るうのか、何をするんだ、やめろ」
といってきた。
「私が何をしたというのですか。あなたは車内で暴れまわり、車を汚しました。あなたみたいな方は初めてです。今晩、どうされたのですか」と筆者は答えた。
「警察に訴えるぞ」
と局長が脅してきた。結局、警察には行かずに、会社の運行係と連絡を取り、筆者は念書を提出させられ、安全ボードの交換と一部の補償を受けて事態を収拾した。
あの局長の行方は気になる。酒癖の悪さから、冷や飯を食べる羽目になったのだろうか。当事者として気になる点だ。暴言が暴力につながる場合、威力業務妨害として訴えられ、懲役3年以下または罰金50万円の罰則が科せられる可能性がある。執行猶予があっても、社会的地位のある人物にとっては致命的な影響を及ぼすだろう。