「男女平等 = 逆差別」とネットに書き込むオジさん社員に欠けた企業改革精神、「適材適所」論はもはや古すぎる
日本でも同様の研究結果
日本にも同様の研究結果がある。
日本大学常務理事、NPO法人ウッドデッキ代表理事の渡辺美代子氏によれば、大学や公的研究機関では女性限定採用を行っているところがあるのだが、
「女性限定採用で非常に優秀な人材を採用できていることが検証された」
のだという(2023年4月11日付、『日経xwoman』)。
九州大学では、2009(平成21)年に女性限定採用を始めたが、その枠で採用された女性研究者は、通常採用の研究者(男性研究者やその他の女性研究者)と比較すると、ひとり当たりの論文数と
「トップ10%論文(被引用回数が上位10%に入る優れた論文)の割合」
が高かったという。
群馬大学においては、女性限定採用の女性研究者は、男性研究者に比べ、研究資金の助成事業に採択された研究数および、ひとり当たりの獲得経費が高かったことがわかった。
適材適所では変わらない
日本に暮らす私たちがいくら「適材適所」などいっていても、私たちの目そのものにバイアスがかかっているという問題がある。ジェンダーギャップ指数世界125位のなかで生きてきたから、能力で採用したつもりでも男性有利になりがちではないだろうか。
総合商社の丸紅は、新卒の総合職の女性比率が2~3割で来ていたが、5割を女性にすることに決めた。中途採用も併せ、2024年までに採用の女性比率を4~5割に引き上げるという(2023年1月16日付、『朝日新聞DIGITAL』)。
可能な限り早く総合職の男女比を1対1にすることで、
「環境変化に対応するには同質集団からの脱却」
を柿木真澄社長は狙う。
一般にマイノリティを30%以上とすることで、動きが出る、その意見が反映されるようになる、イノベーションが起こるといわれている。女性が、「女性」ではなく
「個人」
として見られるようになれば、同質集団から脱却することになるだろう。経団連も2030年までに役員の女性比率を30%以上にすることを目指している。
同記事によれば、女性活用を進めない企業に対し、今後の成長度合いを疑問視する国内外の機関投資家がいる。
女性活用を進めることは、もはや企業内だけの問題ではない。待ったなしの状況なのだ。