物流ドライバーの“収入アップ”を阻む最大の敵 それは「運送会社の経営者」かもしれない

キーワード :
, ,
「トラックドライバーの収入アップを」という機運が高まっている。収入アップの妨げる悪者として名指しされがちなのは、荷主および親請けだが、実は運送会社経営者の課題も大きい。

「勘と相場感に頼った運賃」という時代錯誤

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 大手ならばともかく、今も大半の中小運送会社は勘と相場感に頼って運賃を提示しているところが少なくない。そして国内の運送会社は、従業員50人以下の企業が9割を超え、従業員1000人を超える企業は94社(0.1%)しかいない、中小企業の集合体である。

 そして、中小運送会社の経営者のなかには、輸送原価を把握できていない人も少なくない。

 輸送原価が把握できていなければ、ドライバーの年収アップも十分にできない。輸送原価原価を把握していないのに、例えば

「ウチのドライバーの年収を30万円アップさせるためには、運賃をいくらにすればいいのか」

など計算できるわけがない。

 だから、取りあえず運賃値上げができたとしても、それを即ドライバーの賃金に反映させられない。できたとしても決算後だろう。

 いったん上げた賃金を下げるのは簡単ではない。だから経営に計画性がない、つまり“どんぶり勘定”で行き当たりばったりな経営をしている運送会社では多少運賃を値上げし、経営にゆとりが出たくらいでは、怖くてドライバーの賃金を上げられないのだ。

 もっとも、ここまで述べたとおり、それ以上に運賃交渉そのものをしていない運送会社の存在も大問題だ。ドライバーの収入を向上させるためには、運送会社経営者の経営スキルが向上することも大切なのである。

 次話では、原価計算の大切さについて、深掘りしていく。

全てのコメントを見る