物流ドライバーの“収入アップ”を阻む最大の敵 それは「運送会社の経営者」かもしれない

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「トラックドライバーの収入アップを」という機運が高まっている。収入アップの妨げる悪者として名指しされがちなのは、荷主および親請けだが、実は運送会社経営者の課題も大きい。

値上げ交渉をしない運送会社

物流トラック(画像:写真AC)
物流トラック(画像:写真AC)

 ところが、この状況にも関わらず、運賃交渉を行っていない運送会社が少なからずいるのだ。

 東京都トラック運送事業協同組合連合会が2023年1月に行った、第38回「運賃動向に関するアンケート調査結果」をひもとこう。

 現行の収受運賃料金については、8割以上の運送会社が「低い」と答えている。「極めて低い」2.4%、「低い」39.6%、「少し低い」43.8%で、「希望通り」は41.2%。逆に、「希望より高い」の回答者はゼロだった。

 最近半年での運賃収受状況について、8割近くの運送会社が「特に変化はない」と答え、またこれから半年後の運賃収受状況についても、7割近くの運送会社が「特に変わらないと思う」と答えている。

 運賃値上げを自ら運送会社に打診してくれる荷主はまれだろう。「いるわけがない」と断言するつもりはないし、実際にそういう荷主がいることも筆者は知っている。だが大半の荷主は、(前述の大手メーカーのように)

「運送会社から値上げ要請されたら、もう断れない」

と思っていても、自ら運送会社に打診することはない。

 補足すれば、先の「ここ半年間運賃に変化がない」あるいは「今後半年間、運賃は変わらないと思う」と答えた運送会社のなかにも、値上げ交渉を行っているものの、結果が得られていない運送会社もいるようだ。

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