エアバス機を90機大量購入 米国経済に依存する「メキシコ」の現在地とは

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7月の初め、エアバス社はメキシコの航空会社ビバアエロブスと大型契約を結んだと発表した。ビバアエロブスが今回注文したのは、「A321neo」90機とのことである。

メキシコ経済の死角

メキシコ(画像:OpenStreetMap)
メキシコ(画像:OpenStreetMap)

 メキシコは、北米自由貿易協定締結国のなかで、最も製造コストがかからない国である。「メキシコで安く作って北米で高く売ってもうける」というビジネスモデルを狙って、投資が加速しているといっても過言ではない。

 ただ、この北米の景気への依存度が高すぎる点がメキシコの課題だ。

 メキシコは、以前から北米との結びつきが強く、特に米国の景気に左右されてきた歴史がある。北米自由貿易協定により、さらに依存度が高くなったともいえなくもない。これは、巨大なマーケットのある米国に近すぎるゆえのジレンマともいえよう。

 このほか、電力不足も懸念されている。自動車メーカーや部品メーカーの相次ぐ工場建設に対し、送電線網の整備が追いつかない可能性がある。

 太陽光発電など自家発電して電力を賄う方法もあるが、エネルギー規制委員会(CRE)による許認可が難しく、メキシコ電力庁(CFE)か大手電力会社に頼らざるを得ない。つまるところ、メキシコでの製造業の発展は、

「電力インフラ次第」

といったところだろうか。

 これから、さまざまなハードルを乗り越えながらメキシコは発展すると思われるが、将来的に北米の工場という地位にとどまるのか、世界の工場へと変身するのだろうか。

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