エアバス機を90機大量購入 米国経済に依存する「メキシコ」の現在地とは
7月の初め、エアバス社はメキシコの航空会社ビバアエロブスと大型契約を結んだと発表した。ビバアエロブスが今回注文したのは、「A321neo」90機とのことである。
米国の好景気に乗るメキシコ経済
自動車産業がメキシコ経済の一翼を担っているものの、実は輸出先の内訳はほとんどが北米向けである。
例えば、2022年のメキシコの自動車輸出台数は約286万台であるが、このうち約222万台が米国向けであり約78%も占めているのだ。2番目はカナダ向け約21万台であり、米国とカナダを合わせると約85%となり、ほぼ
「北米の自動車工場」
といえよう。
メキシコは米国、カナダの3国と北米自由貿易協定(NAFTA)を締結しており、1994年1月1日の発効以降、メキシコへの投資が加速して経済が発展したのはいうまでもない。北米の景気が上向き続けるかぎり、好景気に乗っかる形で成長できるのだ。
さらには、2022年8月にバイデン大統領が署名したインフレ抑制法(IRA)も、メキシコにとって追い風となっている。米国で電気自動車(EV)の税額控除を受ける場合、北米で最終組み立てしたEVや北米産のバッテリー構成部品が条件となっているのだ。
もちろん、北米の定義のなかにメキシコが含まれている。今後ますます既存の自動車工場のEV生産対応、EV新工場の建設が加速し、自動車メーカーに付随する部品メーカーの相次ぐ進出も期待されている。