バスガイドは、なぜ「女性」ばかりなのか? 意外と知らない謎に迫る

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観光バスなどで、乗客の世話や観光地・風景の案内をするバスガイド。そんなバスガイドだが、最近では男性もちらほら見かけるようになったものの、一般的には女性のイメージが強い職業だ。

初めての女性バスガイドは1928年

観光バスのイメージ(画像:写真AC)
観光バスのイメージ(画像:写真AC)

 初めての女性バスガイドは1928(昭和3)年、大分県の別府温泉で誕生している。亀の井バスの創業者・油屋熊八が発案した「少女車掌」がそれだ。油屋熊八は希代の事業家で、旅館を創業しバス会社もつくった。そのバス会社が遊覧事業を始めるにあたり採用したのが少女車掌であった。

 この少女車掌は「容姿端麗」な女性を採用し、別府の名所を伝統的な七五調で案内するものだった。月給は三食付きで20円。制服は特注のスカートにジャケットと革の帽子という流行の最先端で、たちまち観光客の間で評判になった。その評判たるやガイドの声を録音したレコードが発売されたほどである。

 この別府温泉での人気が、「バスガイド = 女性」という日本独自の文化を生み出した理由のようだ。女性ガイドのほうが乗客にうけるという現実的なメリットは、女性の社会進出が増えていたという事情ともリンクした。

 戦前、バスガイドは既に女性の人気職業となっている。昭和初期に「東京乗合バス」では、3人の募集に対して

「300人」

の応募があったというから、その人気ぶりがうかがえる。ちなみに当時の応募資格は

「高等女学校卒業以上、容姿端麗」

である。1935年時点で高等女学校の進学率は16.5%。つまり、それなりの家柄の子女でなければなれない職業だったのだ。

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