バッテリーEVはまだまだ“買い時”ではない、これだけの理由 まず考慮すべきは「総所有コスト」である

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BEVのバッテリーは車両価格の30~40%を占めるが、ICE車とのコストの違いはそれだけではない。総所有コストという指標がある。今回はこれを解説する。

BEVの総所有コスト

2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)
2023年3月30日、高陽市のKINTEX展示場で行われた「2023ソウルモビリティショー」のプレスプレビューで、テスラモデルXを眺める来場者(画像:AFP=時事)

 先日、中古テスラに関するツイートが話題を呼んだ。投稿者によれば、バッテリー交換で約230万円の請求がきたという。ただ、テスラを見放すことはないようで、「次はサイバートラックに乗ります」とのことだった。

 さて、バッテリー式電気自動車(BEV)のバッテリーは車両価格の30~40%を占めるが、内燃機関(ICE)車とのコストの違いはそれだけではない。総所有コスト(TCO)という指標があり、

・初期費用(車両価格、補助金、税、保険等)
・維持費(税、保険、燃料、車検・定期点検、消耗品(タイヤ、ブレーキ、ワイパー、油脂類))
・売却/廃車費(車両残価、廃車・リサイクル費用)

が、主な内訳である。今回はこれらを解説する。

初期費用が高く、維持費が低いBEV

英国でBEVのTCOは通常ICEよりが安いが、年間走行距離の少ないテスラSは所有期間が7年を超えるとBMWの5シリーズを超える(画像:Nickel Institute)
英国でBEVのTCOは通常ICEよりが安いが、年間走行距離の少ないテスラSは所有期間が7年を超えるとBMWの5シリーズを超える(画像:Nickel Institute)

 BEVは初期費用が高く、維持費が低いが、これらのコストは車格、地域、走行距離、所有年数によって異なる。

 例えば、BEV市場をリードする英国では、通常BEVのTCOは低いが、年間走行距離が少なく保有期間が7年を超える大型BEVのTCOはICEより高く、ドイツでも同様の傾向が見られる。

 自動車業界の調査会社JATOによると、中国市場ではBEVの新車価格が欧米市場よりも1万5000ドル以上安い。欧州のサプライヤーであるフォルビアは、

「研究開発費と人件費が安く、設備投資が少ない中国のメーカーは欧州勢より1万ユーロ安くEVを生産できる」

と指摘している。比亜迪(BYD)や小鵬汽車(シャオペン)といった中国企業は、手頃な価格の新型BEVを投入することで、テスラの値下げ戦略に対抗する。

 BEVとICEの希望小売価格の差は年々縮小しており、2023年3月時点では37%となっている。中古車情報サイトのオートトレードは、この価格差は2025年以降になくなると予測しているが、リチウムイオン電池の価格次第だと補足している。

 補助金などのBEV優遇措置は、英国では販売台数の増加によりすでに廃止され、ドイツでも段階的に廃止されつつある。中国も2022年末で廃止したが、経済活性化のため2027年まで優遇政策を復活させると発表している。

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