ビッグモーターの記者会見はなぜ視聴者をイラつかせたのか? 買い取りナンバーワンでも、謝罪は“ワーストワン”という笑えない皮肉
7月25日、中古車販売大手のビッグモーターの兼重宏行社長が記者会見で辞任を表明した。しかし、その際の失言で同社への批判はさらに高まることとなった。
記者に“逆ギレ”した雪印乳業社長
これとは正反対に大失敗した謝罪会見が、2000(平成12)年7月に集団食中毒事件を起こした雪印乳業だ。事件は、工場での低脂肪乳生産ラインのずさんな管理が原因で発生した。
雪印は悪手を繰り返した。同年7月1日に行われた最初の記者会見で、石川哲郎社長は他の役員とともに頭を下げて謝罪した。しかし、集団食中毒の原因に話が及ぶと
「製造工程の一部で汚染が確認された」
「毒素は検出されず、原因は特定できていない」
「菌の集団発生は起きていないと考えられる」
と釈明に終始した。記者の質問に促されて、ようやく
「バルブの洗浄が不十分だった」
と非を認めた。
7月4日に改めて行われた記者会見が、失敗の決定打となった。この際、事件発覚以前から消費者のから苦情が相次いでいたことを問われた石川氏は、
「苦情は、なんていうか、見逃してしまった」
「何百本に1本はクレームがある」
と無責任な回答を続け、最後にはなんと
「時間が来た」
と会見を打ち切り、席を立ってしまったのだ。しかも、石川氏は追いかける報道陣のカメラを前に
「私は寝てないんだ!」
と“逆ギレ”とも思えるような勢いで叫んだ。あまりにもインパクトがあったため、記憶にある人も少なくないだろう。
結局、この事件が引き金となり、雪印乳業の経営は悪化。分社化を余儀なくされることとなった。記者会見の失敗が企業の命運を決めた代表的な事例である。