ビッグモーターの記者会見はなぜ視聴者をイラつかせたのか? 買い取りナンバーワンでも、謝罪は“ワーストワン”という笑えない皮肉

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7月25日、中古車販売大手のビッグモーターの兼重宏行社長が記者会見で辞任を表明した。しかし、その際の失言で同社への批判はさらに高まることとなった。

社員をかばった山一證券社長

謝罪会見のイメージ(画像:写真AC)
謝罪会見のイメージ(画像:写真AC)

 これまで行われてきた謝罪会見のなかで成功例として知られるのは、1997(平成9)年11月に自主廃業を決めた山一證券の野澤正平社長の会見だろう。当時、山一證券は総会屋への利益供与や巨額の簿外債務が発覚し、経営が危ぶまれていた。

 責任を問われて退陣を余儀なくされた経営陣の後任に起用されたのが野澤氏だった。野澤氏が社長に選ばれたのは、社内でも傍流で、不正を知らない人材だったからだ。そのため、2600億円もの巨額の簿外債務を知ったのは社長就任の同年7月だった。

 実に驚いたことであろう。怒りに震えたことであろう。それにもかかわらず、野澤氏は記者会見で

「私らが悪いんであって、社員は悪くありませんから」

と男泣きで社員をかばった。これが同社社員の再就職をスムーズにしたともいわれている。

 ただ、成功の理由はこれだけではない。この前段階で、野澤氏は簿外債務の詳細や、メインバンクから見放され財務省から廃業命令を受けるに至った経緯を2時間以上かけて説明している。つまり、

・自分が責任者であることを隠さない
・廃業に至った原因と結果について時間を惜しまず説明した

ことが評価されたのだ。

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