京成線「東成田駅」はなぜ“秘境駅”と呼ばれるのか? 成田空港の敷地内の謎に迫る

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京成電鉄の東成田駅は、首都圏の「秘境駅」と呼ばれている。同社のデータによれば、2022年の乗降客数は全69駅中「66位」となっている。一体なぜ「秘境駅」になったのか。

首都圏の「秘境駅」

東成田駅(画像:写真AC)
東成田駅(画像:写真AC)

 京成電鉄の東成田駅(千葉県成田市)は、首都圏の「秘境駅」と呼ばれている。秘境ゆえ、その利用者は少ない。同社のデータによれば、2022年の乗降客数は1730人で、京成線全69駅中「66位」となっている。

 数ある「秘境駅」のなかでも同駅が特異なのは、かつては大勢の乗客でにぎわっていたということだ。東成田駅はもともと「成田空港駅」と呼ばれ(1978~1991年)、成田空港へのアクセスの拠点として機能していた。

 ただ、東成田駅は成田空港のどのターミナルにも離れている。なぜそのような場所にアクセスの拠点が作られたのか。

 現在、成田空港へのアクセスには、JRと京成線の鉄道2路線とバスがある。このうち、鉄道2路線は最初から計画されていたものではない。紆余(うよ)曲折の結果、乗り入れたというのが正しい説明だ。

 政府が成田市三里塚に「新東京国際空港」の建設を決定したのは、1966(昭和41)年だった。それから間もない1969年、京成電鉄は京成成田駅~成田空港駅間の免許を取得している。ところが成田空港駅を名乗りながらも、ターミナルに外れた場所に路線を作らざるを得なくなった。なぜなら、当時の運輸省が京成線の乗り入れに難色を示したためだ。

 難色を示したのは、京成線とは別の

「アクセス鉄道計画」

が存在したからだ。

 成田空港建設にあたって、当時の政府は「東京と新空港を結ぶ高速鉄道を運行する」ことも閣議決定している。これは、東京~成田間に新幹線(以下、成田新幹線)を建設し、短時間でアクセスできるようにするという構想である。空港アクセスは成田新幹線が担うので、京成線が乗り入れる必要はないと考えられたわけだ。

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