神奈川の謎! JR横浜駅にはなぜ「待合室」が存在しないのか?

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多くの旅客が行き来するJR横浜駅構内だが、長距離旅行者が大勢待機できるほどの「待合室」がない。いったいなぜなのか。

半世紀にわたる問題

横浜駅(画像:写真AC)
横浜駅(画像:写真AC)

 横浜駅は新宿、池袋、東京に次ぐJR東日本の乗車人員4位を誇る主要駅である。

 その数、1日約34万人。それほど多くの旅客が行き来するJR横浜駅構内には、しかし、長距離旅行者が大勢待機できるほどの「待合室」がない。

 例えば1日34万6000人の東京駅には、新幹線の改札内にベンチを配した待合室があり、1日の乗車人員が約60万2000人でJR東日本1位の新宿駅にさえ、成田エクスプレスが発着するホーム上には広めの待合室がある。それなのに、横浜駅にはそれに類する存在がほぼないのだ。

 多くの人が行き交うからこそ待合室など設けるスペースが取れない、ともいえるが、実はJR横浜駅の待合室問題、もう半世紀にわたっていわれ続けてきたものらしい。

待ち合わせ場所にも事欠く狭さ

横浜駅(画像:写真AC)
横浜駅(画像:写真AC)

 JR横浜駅は利用客の多さに比して構内が狭く、そもそも待合室を設けられそうな場所が見当たらない。また、横浜駅を始発・終着とする列車が少なく、「通過型」の途中駅となっていること、乗り換えの私鉄、公営路線が多い(京浜急行電鉄、東急電鉄、みなとみらい線、相模鉄道、横浜市営地下鉄)ため、特定の列車を待つよりも、次から次へと

「流れていく」

利用者が主体であることも要因といえるだろう。

 とはいえ、ニーズがないわけではない。JR横浜駅からは空港アクセス特急「成田エクスプレス」や、伊豆方面に向かう特急「踊り子」、国内唯一の定期夜行列車となった寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」が発車する。こうした列車に乗る長距離旅客が、大きなスーツケースやキャリーケースを携え、ホームにたたずむ光景は日常的に見られる。

 新幹線の改札内にあるような「待合室」とまではいかなくても、長距離の旅客が荷物を置き、腰を下ろして一休みすべきベンチがほしい。しかし、それもほとんどない。

 東海道本線、京浜東北・根岸線のホーム上にはベンチが少なく、2010(平成22)年に拡幅された横須賀線ホームにしても、小型の「待合室」があるが、座れるのは10人ほど。改札内には、JR系のコーヒーチェーン「ベックスコーヒーショップ」があるので、座って待ちたければお金を払う、ということだろう。

 余談ながら、JR横浜駅は待ち合わせスポットにも事欠く狭苦しさである。改札外の通路はいつも人でごった返し、東京駅の「銀の鈴」や「動輪の広場」のような広い待ち合わせスポットはない。

 JR改札外の中央連絡通路には、2010年に「赤い靴はいてた女の子像」がお目見えし、横浜駅では希少な待ち合わせ場所として報道もされたが、台座上にしつらえられた像の高さは30cm足らずと、存在感十分とはいえない。

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