テスラ相次ぐ「値下げ」 米国の価格破壊ブームで、EVはお手頃アイテムになるのか?

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テスラの2023年第2四半期の売上高は、前年同期比47%増の249億ドルと過去最高だったが、営業利益率は前年同期から5ポイント下落して9.6%だった。

EVサブスク事業は大打撃

Autonomy創業者のスコット・ペインター氏(画像:Autonomy)
Autonomy創業者のスコット・ペインター氏(画像:Autonomy)

 急激なEV新車価格の下落により、深刻な経営難に陥っている企業がある。EVをサブスクリプションサービスで提供するスタートアップ企業「Autonomy」だ。創業者はスコット・ペインター氏がで、ほかにも中古車販売会社「TrueCar」や自動車のECサイトプラットホーム「CarsDirect」なども手掛けている。

 ペインター氏によれば、「Autonomy」の起業に際して約12億ドルの資金を投じ、テスラを始め、ゼネラルモーターズ、フォルクスワーゲンなどのEVを2万3000台ほどを調達する計画だった。しかし、EV価格下落によって保有するEVの資産価値が3割以上も低下し、さらに在庫状況も好転するなどで、事業の存続が難しい局面となっている。

 同社のウェブサイトによると、テスラ「モデル3」のサブスク料金は月々390ドル(+頭金5800ドル)からだが、車両価格の下落が続いたため、サブスク料金を値下げしないと価格競争力が維持できない状況に陥り、収益性を著しく圧迫している。

 当然のごとく事業計画の見直しが必要となり、従業員数を120人から45人に削減するなどの固定費圧縮や、サービス対象台数を1300台まで削減しなければならなくなったが、損益分岐点に到達するには少なくとも

「3000台」

は必要とのことだ。

中古EV価格も下落傾向

2023年1月から6月の中古EV価格推移 (画像:iSeeCarsウェブサイト)
2023年1月から6月の中古EV価格推移 (画像:iSeeCarsウェブサイト)

 EVの新車価格下落を受けて、中古EV価格も下落する傾向にある。

 2022年春から、ウクライナ情勢による原材料費や石油価格などの高騰により、一時的にEV新車価格が上昇して中古車相場も高騰していた。先月の中古EV平均価格は前年同月比30%減の4万916ドルで、1月から15%以上も下落、暴落に近い状況が続いている。

 特に値下がり幅が大きいのはテスラのモデル3、モデルX、モデルSなどで、前年同月比で20%~30%も下落している(iSeeCars調べ)。

 中古価格の下落はリセールバリュー(再販価値)低下を招き、EVの買い替えを控える動きにもつながる。中古EV市場が拡大していくかどうかは、今後の中古車相場に左右されかねない。

 2023年第2四半期(4~6月)の米国EV販売台数は29万6100台で、前年同月比49%増と伸長している。テスラの米国EV市場シェアは6割近いといわれており、まさにマーケットリーダーである。

 われわれ消費者にとっては、テスラのように高品質なEVが手頃な価格で手に入りやすくなることはうれしい限りだが、中国で起こっているような極端な値下げ競争で市場が混乱する事態は回避されるべきだ。

 これまでに、テスラは「ギガプレス」と呼ばれる革新的な生産工程によるコスト低減や、LiDARなどのセンサーを使用せずに車載カメラのみで自動運転を実現しようとする技術開発に取り組み、従来になかったアプローチでEVを市場投入してきた。

 今後もEV市場規模の拡大や技術革新などに加え、収益性も高めて、EV市場全体の発展に寄与していくことができるか、注目していきたい。

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