「道路を『歩道化』すると沿道の店は儲かる」を証明 車中心からの転換に示唆 東大論文

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車中心の道路から、歩行者や自転車中心の道路へ――各地で進む道路施策の転換、その「経済効果」を東京大学のチームが明らかにした。沿道飲食店の売上にポジティブな影響を与えるそうだ。

東大チームがビッグデータを用いた経済効果を検証

大阪、御堂筋全体を歩道化したイメージ(画像:大阪市)。
大阪、御堂筋全体を歩道化したイメージ(画像:大阪市)。

「歩行者中心の街路に立地する小売店や飲食店の売り上げは、非歩行者空間に立地するそれらよりも高い」。このことを立証した研究結果が、各地で進む「車中心から歩行者中心の道路へ」という施策に示唆を与えるかもしれない。

 東京大学先端科学技術研究センターのまちづくり分野のチームによる論文「Street Pedestrianization in Urban Districts: Economic Impacts in Spanish Cities」が2021年10月28日に国際雑誌「Cities」へ掲載され、大学がその概要を発表した。ポイントは次の通り。

・歩行者中心の街路に立地する小売店や飲食店の売り上げは、非歩行者空間に立地するそれらよりも高いことを定量的に示した。

・車中心の道路から歩行者や自転車中心の道路への転換に係る、周辺環境への経済的影響を分析した結果、レストランやカフェといった飲食店の売り上げにポジティブな影響を与えることが明らかになった。

・本研究成果はウィズコロナに対応した都市計画やまちづくりが進むなか、パンデミックへの備えと経済活動を両立させる為の街路の有効活用といった政策立案や、住民との合意形成のための強い根拠となり得ると期待される。

 これらの結果から、日用品の購入などについては、歩行者空間であろうとなかろうと日常的に行われる一方で、ランチやディナー、コーヒーといった飲食に関しては、車中心の街路よりも、歩行者中心で編成されている街路の方が好まれるということが推測できたという。従来から言われてきた言説にデータで裏付けを与えたとしている。

 ちなみに日本では、京都市が「歩くまち」を掲げ中心市街地の歩道を拡大するほか、大阪では御堂筋、神戸では三宮駅前の歩行者空間化、車道の削減などが進んでいる。

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