成田空港の「離着陸」はなぜ昼夜に集中しているのか? コロナ禍支えた「乗り継ぎ需要」、アジアのハブ空港目指せ

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コロナ禍で海外旅行や海外出張が激減したなか、成田空港を支えたのは主に日本をハブとする「乗り継ぎ需要」だった。その需要に成長が期待されている。

国際線の離着陸ピークは昼から夕方

成田空港(画像:写真AC)
成田空港(画像:写真AC)

 成田空港の離着陸可能時間は午前6時から夜23時までだが、忙しい時間帯は一部に集中している。特に、成田空港の総旅客数の8割以上を占める国際線の離着陸ピークは、乗り継ぎ需要を満たす15~18時台である。

 コロナ禍で海外旅行や海外出張が激減したなか、成田空港を支えたのは主に日本をハブとする

「乗り継ぎ需要」

だった。

 特にアジアと北米をつなぐ三国間流動のニーズは高く、バンコクやシンガポールからの乗客のほとんどが北米行きの乗り継ぎ利用だった、といったことも少なくなかった。

 近年、羽田空港の国際化は著しいものの、成田国際空港の世界各国をつなぐ路線網はいまだに他国内空港を圧倒している。2023年現在、羽田空港の国際線就航数は59都市だが、成田空港は北米方面23路線、東南アジア方面15路線を筆頭に、羽田空港の2倍となる

「世界119都市」

の路線数となっている。

 また、その路線数にともなう旅客数も国内トップだ。コロナ前である2019年の日本国内の国際旅客数を比較すると、成田空港は3670万人と、2位の関西国際空港(2493万人)、3位の羽田空港(1871万人)に1000万人以上の差をつけている。

 そのなかでも注目したいのが、成田空港の

「通過客(国際線から国際線への乗り継ぎ客)」

である。

 約374万人と、国際線利用者の10%以上が経由地として成田空港を利用している。ちなみに、他の2空港の通過客の割合は、羽田空港が2%(約39万人)、関西国際空港が1%弱(約22万人)となっている。

 全体の10%と聞くと少ないように見えるが、国際線人気の高いハワイや韓国路線などは日本人乗客がほぼ占めているため、そうした路線を外すと、実際には数字以上に高い乗り継ぎ需要、つまり成田空港の

「国際ハブ空港」

としての役割の大きさが見えてくる。

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