ドライバー不足で「路線バス」減便相次ぐ 年収300万円台で若者敬遠、2024年問題加わり“泣きっ面に蜂”な現実
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全国で路線バスの減便が拡大している。需要がある路線でも慢性的な運転士不足でバスを運行できなくなっているためだ。運転士はなぜ集まらなくなったのだろうか。
給料安く、不規則勤務が若者に不人気

公営バスの運転士にはかつて、常識外れの高給取りがいた。
京都市バスは2002年度、約940人の運転士のうち、約180人が残業代込みで年収1000万円を超えたほか、平均年収も約870万と民間を大きく上回っていた。これは横浜市バスや大阪市バス(当時)も同様だったが、今は給与が民間並みに引き下げられている。
厚生労働省によると、バス運転士の平均月額給与は2022年で29万3000円。全職業平均の31万1800円に及ばない。平均年間所得額は
「398万円」
だ。若者がバス運転士を敬遠する理由の一つにこの給料の低さが考えられる。
労働時間が不規則なことも若者に嫌がられている。2022年の平均残業時間は月当たり28時間だが、早朝から勤務する前日は晩酌をセーブしなければならず、週末や祝祭日の勤務もある。プライベート優先で考えると、好ましくない職場になるのだろう。
自動運転という現状打開策

現状打開に地方自治体やバス会社が期待するのが自動運転だ。石川県小松市は損害保険ジャパンなどと連携して3月、小松市土居原町のJR小松駅と小松市浮柳町の小松空港間約4kmで自動運転バスの実証実験をした。
小松市地域振興課は
「来春の北陸新幹線延伸に合わせ、空港アクセス向上と街のにぎわい創出を図るためだが、運転士不足解消の狙いもある。運転士が足りない以上、自動運転に期待している」
と説明する。
路線バスには2024年問題という新たな難題も待ち構えている。年間拘束時間が80時間短縮される一方、乗務間の休息が1時間増え、より多くの運転士が必要になることだ。運転士不足の解消は国を挙げて取り組む時期に来ている。