ドライバー不足で「路線バス」減便相次ぐ 年収300万円台で若者敬遠、2024年問題加わり“泣きっ面に蜂”な現実
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全国で路線バスの減便が拡大している。需要がある路線でも慢性的な運転士不足でバスを運行できなくなっているためだ。運転士はなぜ集まらなくなったのだろうか。
大型二種免許保有者は半数近くが高齢者

全国のバス会社は運転士確保に躍起となっている。香川県小豆島の小豆島オリーブバス(香川県土庄町)は路線バス運転に必要な大型二種免許の取得支援制度を導入したことを車内に掲示、観光客にも就職を呼び掛けている。
新潟県の新潟交通は7月上旬、新潟市でバスの運転体験会を開いた。北海道と北見バスなど北海道のバス会社5社は6月、北見市でバス運転体験・合同就職説明会を催している。しかし、成果はなかなか上がらない。
新規採用が減少した背景には、大型二種免許保有者が減っていることがある。警察庁によると、2022年の保有者は全国で約80万人。20年前の2002(平成14)年に比べ、32.8%少ない。トラック運転に必要な大型一種免許保有者が5.3%減なのに対し、不人気ぶりがうかがえる。
しかも、2022年の保有者のうち、46.2%の約37万人が65歳以上。2002年には38.3%でしかなかったことから、この20年で8ポイント近く上昇した。これでは大量の退職者を補充できないのが当然だ。
運転士不足の影響は減便にとどまらない。石川県中央都市圏地域公共交通協議会が進める北陸鉄道の将来像検討では、バス転換の課題として運転士不足が挙げられた。鉄道車両の定員は1両130~160人程度。大型バスは法定定員70~80人だが、実際は50~60人で限界が来る。同じ人数を運ぶなら、バスのほうが多くの運転士を確保する必要があるからだ。
今後、全国各地でローカル線の存廃協議が始まるとみられる。このままだと地域のバス運転士確保状況によっては、バス転換を選択肢から外さざるを得ない事態も考えられる。