バイクの免許 「最初から大型」は絶対お勧めできないワケ

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気持ち良さそうに走るライダーたちを見て、バイクに憧れを持つ人は多いだろう。そして「バイクに乗るならやっぱり大型」という気持ちを抱く人もいるかもしれない。

いきなり大型はお勧めできないワケ

車体を傾けてカーブを曲がるライダー(画像:写真AC)
車体を傾けてカーブを曲がるライダー(画像:写真AC)

 バイクの操作は思っているよりも難しい。アクセル、ブレーキ、シフトチェンジなどの操作は両手両足を使って行うため、なかなかせわしない。走り始めてしまえば比較的安定するものの、慣れないうちはスムーズな発進・停止ができるようになるまで苦労が絶えない。

 またバイクが車の運転と違う点は、車体を傾けてバランスを取る必要があることだ。一般的なバイクは傾けなければ行きたい方向へと曲がらない。そしてバイクを傾けるためには、左右の内ももでバイクのタンク部分を挟み込み、車体を支える必要がある。

 この動作を忘れてしまうとバイクが不安定になってしまうため、カーブ時は

「単にハンドルを切ればいい」

というわけにはいかないのだ。バイクを走らせるためにはバランスも非常に大切で、運転する際はありとあらゆるところに気を配る必要があることを知っておいてもらいたい。

 このような特性のあるバイクだが、排気量や車体の大きさが変わるとどのような違いが生じるのだろうか。

 まず大型バイクは車高が高いものが多いので、小柄な人だと足つきが悪くバランスが取りづらくなってしまう。当然、車体も大きいため取り回しがしにくくなり、走る場所を選ぶこともある。

 そして排気量が大きいバイクとなれば、より繊細なアクセルワークが求められる。中型バイクと比べてアクセルを開けた時のパワーのかかり方の違いは大きく、予期せぬ急発進につながる可能性もある。そのため、慎重なアクセル操作が必要だ。

 また大型バイクは車体の重さが200kgを超えてくるものも多く、少しふらついただけでも車体が倒れてしまう可能性もある。その場合は自分で起こさなければいけないのだが、重量のある大型バイクとなると多少の力とコツが求められる。

 もちろん、

「乗っているうちに操作や扱いに慣れてくるから大丈夫」

と考える人もいるだろう。しかし扱いに慣れるまでの間に事故に遭ってしまっては元も子もない。

 実際にバイクは事故時にけがのリスクが大きい。車の運転であれば、体は車体に守られているのである程度被害は軽減できるが、バイクはそうはならない。

 内閣府の「令和3年度版交通安全白書」によると、2020年のバイク事故における死亡率は1.3%で、この数値は

「自動車事故の約3倍」

になるそうだ。また重症率となると、バイクは事故全体のうち17.5%、自動車は事故全体のうち3.1%が重傷というデータが。一度バイク事故が起きると、悲惨な結果になる可能性が高いことが明らかになっている。

 このように事故が起きたときのリスクを踏まえると、慣れるまでに時間を要する大型バイクから乗り始めるのは、決して得策とは言えない。それよりも比較的操作や扱いがしやすい小型・中型バイクから始めることで、事故発生のリスクを少しでも軽減し、大型バイクへのハードルを下げてから乗ることをお勧めしたい。

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