トラックドライバーが出先でチェンジ 物流業界の希望「中継輸送」に潜んだいくつもの課題

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長距離ドライバーは労働時間が長くなりがちだ。それを是正する方策として、「中継地点」を設け、そこでドライバーを交代させる取り組みが増えている。実現に向けた課題はあるのか。

中継輸送の課題

「トレーラー・トラクター方式」の中継輸送の取組み内容。2022年4月改定「中継輸送の取組事例集」より(画像:国土交通省)
「トレーラー・トラクター方式」の中継輸送の取組み内容。2022年4月改定「中継輸送の取組事例集」より(画像:国土交通省)

 中継輸送を行うにあたり、いくつか課題がある。

 まず、交代できる相手のトラックがうまく見つかるかという問題である。荷主企業同士であれば、カゴメと日清製粉ウェルナのように定期的かつ行き先が同一の運行であることが前提となる。

 相互に運行ダイヤを固定し、同じタイミングでトラックを走らせる必要がある。一方が休日となる場合は中継輸送を行うことはできず、単独で運行を行わなければならない。物流会社が主導する中継輸送においても、相手先をうまく組み合わせられるかが成功のポイントとなる。

 また、道路渋滞などで予定していた時刻よりも中継地点への到着が遅れる可能性がある。時間設定に多少余裕は設けるにしても、やむを得ない遅延が発生することがあるだろう。この問題については

「待つしかない」

のが実情である。この場合、遅れが発生したトラックの荷物だけでなく、「待たされた荷物」も届け先への到着が遅れてしまう可能性がある。着荷主に対しても、中継輸送を行うことの説明と理解が求められる。

 運行の所要時間に関しては、中継輸送より1台のトラックで直行する方が乗り換え時間の確保が不要で、直接的な運行時間は短くなる。

 また、高速道路の利用が前提となるといった運行経費の増加につながることもあるが、長時間労働の是正や日帰り勤務を望むドライバーの確保など、メリットの大きさを鑑みると有効な施策であることは間違いない。

 ほかにも中継輸送において懸念されることとして、荷物の破損事故がある。異なる運送会社が中継輸送を行った場合、到着したときに荷物の破損があったときに

「どちらの運送会社の責任か」

わからない。これについては賠償の負担割合を運送会社同士で合意しておくなど事前に条件やルールを決めておくことが必要となる。

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