新幹線予約「EXサービス」進化も その利便性ゆえに生まれる“非・常連客”への冷遇

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東海道・山陽・九州新幹線のインターネット予約・チケットレス乗車サービス「EXサービス(エクスプレス予約、スマートEX)」が話題になっている。

揺るがないJRのチケットレス主流化

新幹線(画像:写真AC)
新幹線(画像:写真AC)

 近年、JR各社ではチケットレス乗車の利用を促すための施策を推し進めている。一方、従来発売されていた割引率の高い切符は次々と廃止されている。

 2021年には東北・上越新幹線などで、2022年には東海道新幹線で、従来発売されてきた新幹線回数券が廃止された。在来線でも、多くの人が利用していた「あずさ回数券」は2019年に廃止されている。

 これまでの賢い利用法は、駅周辺の金券ショップでバラ売りされている回数券を購入して運賃を安くすることだった。そうした乗客にとって、回数券の廃止はいまだ「改悪」とも受け止められている。

 それでも、JRのチケットレス乗車主流化の動きは揺るがない。利用者が低迷するなか、

・運賃の値上げを行わずに人件費を抑制する
・駅設備やオペレーションに手を加えることなくスムーズな乗車を促す

方法として重視されているからだ。

 例えば、JR東海はリニア中央新幹線の開通後、乗り換え客が名古屋駅で増えると予想している。そこでスムーズな移動を促すため、チケットレス乗車をできるだけ早く普及させたい意図がある。

 また、運賃面以外で見るとチケットレス乗車には大きな利点がある。乗車直前までほぼ例外なく列車・座席変更が可能となる。運賃より

「乗りたいときに乗れる」

を至上と考えるなら、チケットレス乗車の普及は間違いなく便利だ。

 では、なにが問題なのか。

 それは、JR各社のやり方が性急すぎて乗客が対応できていないからだ。JR東日本が2021年に示した資料では、こんな目標値が示されている。

●えきねっとによる取扱率
・2020年度:約25%
・2025年度目標:60%

●自社新幹線のチケットレス利用率
・2020年度:約30%
・2025年度目標:70%

 この目標値を達成するためか、JR東日本管内では、窓口が縮小され「えきねっと」を使った事前購入やチケットレス乗車が推奨されている。ただ、これまで窓口で全国の切符が購入できていたのに比べて煩雑だ。JR各社のサービスには、購入できるもの・できないものがあるのだ。

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