ロシアの新車販売・前年比88%増で急回復 中国ブランドが躍進するロシア自動車産業の現在
国内自動車メーカーの課題

アフトワズはルノー日産が出資していたロシア最大の自動車メーカーで、最量販ブランド・ラーダを擁している。2023年の生産台数目標は40万台だ。
ロシア国内に3工場があるが、サンクトペテルブルクにある旧日産・旧トヨタの工場で電気自動車(EV)を生産していく計画があり、第一汽車(上海汽車、東風汽車とともに中国の国有三大自動車会社グループのひとつ)などの中国との提携が伝えられている。
今後の増産に際して、労働者不足の懸念が報じられており、周辺地域の受刑者を生産労働者として迎え入れ、一定の工場稼働率を確保する対策に乗り出している。
2022年12月には新入社員5000人の採用計画を発表していたが、若い労働者はウクライナ侵攻の兵力として招集されており、増産に向けた雇用確保は難しく、労働力不足が深刻な課題となっているようだ。
ロシア国内の2023年4月の失業率は過去最低の3.3%となり、経済成長を阻害する労働力不足を浮き彫りにしている。
ロシアにも新興EVメーカーが存在する。Motorinvestが立ち上げた「エボリュート」だ。元々は、東風汽車や長安汽車の車両を現地組み立てしていた工場でEVを生産する計画で、2023年第2四半期に生産開始予定と発表されている。
ロシア天然資源・環境省へ提供されたEV「i-PRO」は、東風汽車「Aeolus E70」がベース車両で、53kWのトラクションバッテリー搭載、航続距離は420kmが公表値だ。
一方、新興企業Electric Vehicle Manufacturing Rus(EVM)は2023年4月に生産開始を発表。UAZ(ワズ)製シャシーをベースとした電気貨物トラック「EVM PRO」に加えて、電気モーターとオンボードエレクトロニクスを生産する見通しだ。「EVM PRO」は、積載量最大1t、航続距離300kmという。
中国ブランドとの提携拡大

中国ブランドとの提携を加速するAvtotor(アフトトル)は、過去にBMWやGM、現代・起亜などとライセンス契約を結んでいたが、奇瑞汽車や北京汽車、Shinerayなどと技術提携し、セミノックダウンによる生産開始に着手している。2023年の生産目標は5~7万台で、2023年末までにはラインアップを乗用車など20車種に拡大し、将来的にはEVと燃料電池車の生産も計画している。
アフトトルは、中国ブランドの現地生産拠点として今後も技術提携を拡大していくとみられる。
2023年1~4月の中国からの乗用車輸出の15%をロシアが占め、長城汽車や吉利汽車などの中国ブランドの販売が伸びるなど、ロシア国内では中国ブランドの台頭が目立っている。ロシア市場での中国ブランドのシェアは、2021年の7.5%から2022年には8.1%へ伸長、2023年第2四半期には
「16.6%」
まで拡大した。
西側諸国の自動車メーカーが撤退した現在、ロシアは残された生産設備を有効活用して国内需要に応える生産ボリュームを確保していく必要がある。結果、中国ブランドの現地生産が進むため、中国ブランドのロシア進出は加速していくだろう。
中国ブランドの技術移転には巨額の投資が必要となるが、ロシア政府は投資誘導のための免税措置や優遇税制などで対応していくとみられる。
ロシアへの輸出と現地生産の両輪で、中国ブランドがますますロシア市場に浸透していくだろう。