遊園地も電車も「顔パス」 富士五湖地域の新MaaS 周遊パスは変動料金制

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富士五湖エリアで2021年10月27日から新たな観光型MaaSの実証実験が開始された。デジタル周遊パスの発行に加え、交通機関や施設の利用に「顔認証」を導入し、販売額は混雑度に応じた変動制。各分野の技術を結集し、一歩先のMaaSの取り組みが進められている。

デジタルパスは「提示しない」という次の段階へ

11月から2か月間実証運用される「富士五湖 顔認証デジタルパス」(画像:富士急ハイランド)。
11月から2か月間実証運用される「富士五湖 顔認証デジタルパス」(画像:富士急ハイランド)。

 パナソニック システムソリューションズ ジャパン、パナソニック、富士急行、ナビタイムジャパンからなる「富士山エリア観光DX革新コンソーシアム」は2021年10月27日(水)、山梨県の富士五湖エリアの交通サービスや体験施設、ショッピングをスマホで完結するためのサービス「手ぶら観光サービス」の実証実験を開始した。

 富士吉田市、富士河口湖町、鳴沢村、忍野村、山中湖村および一般社団法人富士五湖観光連盟の後援を受けて行われるこの実証実験は、単なるスマホ用デジタルパスやクーポンの発行、経路検索といったMaaSの標準機能にとどまらず、現地で顔認証を導入したり、周遊パスの発売額にダイナミックプライシングを採用するなど、意欲的な取り組みを盛り込んでいる。

 メインサービスとして発売される「富士五湖 顔認証デジタルパス」は、富士急ハイランド公式アプリから購入。この際、あらかじめアプリに顔写真を登録しておく仕組みだ。パスを購入すると富士急ハイランドのアトラクションやエリア内の電車・バス、ロープウェイや遊覧船、温泉施設などが一日自由に利用可能。アトラクションや遊覧船など9か所の利用には顔認証が導入され、スマホを取り出してアプリを起動することなくパスを「提示」することができる。

 顔認証システムにはパナソニックの技術が盛り込まれている。ディープラーニングにより認証精度を高めたこのシステムは、マスクを着用したままでも認証を可能とし、メガネの有無や顔の向き、加齢などの変化にも左右されないという。

 周遊パスの料金は大人料金で6300円~10000円の変動制。AIが過去の入場者数や、天気予報などのデータをもとに混雑度を予測し、日ごとに販売額を設定するとしている。

 利用期間は11月1日(月)から12月31日(金)まで。

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