「水素トラック」は何が新しくて、どこが欠点なのか? 意外と知らないメリット・デメリット、トナミ運輸ら6月実証走行から考える

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物流大手のトナミ運輸は6月27日、かねてから開発を行ってきた水素エンジントラックの走行実証実験開始を発表した。水素を燃料とする内燃機関の得失とは。

障害を克服する方法とその課題

同排気量ディーゼルエンジンとの性能曲線比較。2023年4月発表(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)
同排気量ディーゼルエンジンとの性能曲線比較。2023年4月発表(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)

 これらを改善するには

・水素タンクの容量を増やす
・充填圧力を上げる

といった対策が必要となる。

 ただし、これらは安全性上の懸念が増すという大きな問題がある。現状での40kg(70MPa)という水素タンクのスペックは、これらを綿密に検証した結果、設定されたものだろう。実証走行を通じて容量や圧力が足りないことが判明したからといって安易に増やすことはできない。

 水素補給ステーションについて、既に二か所が確保されているのは安心要素だが、それらインフラ施設運営も含めての総合的なコスト計算はこれからの課題となる。

 運用する水素燃料車両が順調に増えればよいが、そこに至るまでの時間は推測するしかない。その間のコスト負担も、ビジネスとしては懸念要素となる。

 さらに水素ステーションの運営においては、保守管理の面で通常のガソリンスタンド以上のノウハウが要求される。これもまた運用コストが跳ね上がる原因になりかねないのだ。

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