「水素トラック」は何が新しくて、どこが欠点なのか? 意外と知らないメリット・デメリット、トナミ運輸ら6月実証走行から考える

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物流大手のトナミ運輸は6月27日、かねてから開発を行ってきた水素エンジントラックの走行実証実験開始を発表した。水素を燃料とする内燃機関の得失とは。

水素を燃料とする内燃機関の得失

水素エンジントラック出発式典の様子(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)
水素エンジントラック出発式典の様子(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)

 さて、ここで水素を燃料とする内燃機関の得失をまとめておこう。

 内燃機関が水素を燃料とすると、炭化水素である化石燃料とは異なり、排ガス中にCOやCO2は生成されない。わずかの窒素酸化物は生成されるものの、カーボンフリーという意味では申し分ない。

 エンジンの特性や操縦感覚においても、既存のディーゼルエンジンから大きく異なることはない。すなわち、操縦感覚や操作の違いに起因するドライバーへの心理的負担はほとんどない。

 もちろんよいことばかりではない。まず、現状で

「300km」

というその航続距離である。この数値は

・走行する地域の道路環境
・走行パターン
・搭載する貨物の重量

などで大きく変わる。300kmの航続距離は理想的な数値であり、実際に走行可能なのはそれ以下と判断するのが妥当だろう。

 加えて、最悪のシチュエーションとして、出先で燃料の水素が切れた場合、その補給は困難であることから、実際の運用では相応の余裕を見た走行条件で行われるはずだ。

 その数字がどのレベルになるかは不明だが、仮に200km程度としたら使用できるのは市内での短距離ルートのみとならざるを得ない。トラックの場合、航続距離が限定されると

「ビジネス上の大きな障害」

となる。必要に応じてその都度水素ステーションに補給に戻るというのも、効率的な運用という意味ではこれも障害である。

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