「水素トラック」は何が新しくて、どこが欠点なのか? 意外と知らないメリット・デメリット、トナミ運輸ら6月実証走行から考える

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物流大手のトナミ運輸は6月27日、かねてから開発を行ってきた水素エンジントラックの走行実証実験開始を発表した。水素を燃料とする内燃機関の得失とは。

産学協同で開発

2023年4月発表の水素エンジン搭載車両(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)
2023年4月発表の水素エンジン搭載車両(画像:トナミ運輸、東京都市大学、早稲田大学アカデミックソリューション、北酸、フラットフィールド)

 物流大手のトナミ運輸(富山県高岡市)は2023年6月27日、かねてから開発を行ってきた水素エンジントラックの走行実証実験開始を発表した。

 このプロジェクトは環境省による「既販中型重量車の水素エンジン化事業性検証プロジェクト」の一環として実施されていたもの。開発はトナミ運輸のほか

・東京都市大学(東京都世田谷区)
・早稲田大学アカデミックソリューション(新宿区)
・北酸(富山県富山市)
・フラットフィールド(神奈川県厚木市)

による産学協同で、2021年8月からスタートしていた。

 今回、公開されたトラックは車両総重量7990kgの日野レンジャーで、荷台の形状はアルミバンだ。中型トラックとしてはおなじみのモデルである。実車は既存ディーゼルエンジンから水素エンジンへの改造実績が豊富なフラットフィールドの手でモディファイされた。搭載する水素は40kg。充填圧力70MPaの高圧水素タンクは、キャビンの後方と荷台の間に設置されている。

 現時点での目標とされている推定航続距離は300km。車両は既に事業用登録を終えていることから、直ちに実際の貨物輸送を通じての実証実験となる。使用する水素は北酸が提供。水素の補給は水素ステーションとやま、そしてとやま南水素ステーションを通じて行う。走行するのは富山市や射水(いみず)市が中心となる。

 フラットフィールドと日野、そして東京都市大学の協業はこれが初めてというわけではなく、過去には水素燃料ハイブリッドトラックと水素燃料バスの開発を行った実績がある。

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