大企業はなぜ有名人を“社外取締役”に起用するのか? スズキは「高橋尚子」氏、いったい何を期待しているのか
最近、さまざまな企業で著名人の社会取締役就任が続いている。スズキは高橋尚子氏を迎えている。その背景にはいったい何があるのか。
最初に期待すべきは「客観性」
社外取締役は、2021年の改正会社法で上場企業に対して選任が義務付けられることになったことで、より一層増えた。
そもそも社外取締役とは、バブル崩壊後に、企業の不祥事が相次いで発覚したことなどから、コーポレートガバナンスを強化する手段のひとつとして、設置されるようになった。
取引や資本関係のない社外から取締役を迎えることで、他の取締役や企業と利害関係を持たずに、第三者の視点で経営状況に意見することを求められている。
つまり、元の起こりは「多様な視点」というより、しがらみなく
「客観的な視点」
で物事を判断できるということであったわけだ。
事実から論理的に考え、バイアスを取り除く役割
辞書的な意味で「客観的」とは、
「特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま」(デジタル大辞泉)
である。
つまり、最近のはやり言葉で言えば「アンコンシャス・バイアス」(無意識の偏見)を持たずに、あるいは自分のバイアスをきちんと認識した上で、事物をできるだけありのままに見るということだ。
「2ちゃんねる」開設者・西村博之氏ではないが、「それって、あなたの感想ですよね」ではなく、
「客観的な事実に基づいて論理的に考えたら、必然的にこうなる」
という思考を提供することだ。その結果、社内から昇進した取締役が無意識に持っている思考のバイアスを是正し、「客観的」な視点で物事を判断できる、ということなのである。