「女性 = 運転が下手」は間違い! 自動車メーカーが注力すべき、ジェンダーギャップ指数「G7最下位国」にふさわしい製品開発とは

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現在、自動車メーカーは、女性ユーザーのニーズを満たすような製品開発と技術革新に取り組んでいる。モビリティのジェンダーギャップはいつ埋まるか。

女性「運転苦手」日本で浸透の理由

車を運転する女性(画像:写真AC)
車を運転する女性(画像:写真AC)

 女性は男性と比べて、

「車の運転が苦手」

というステレオタイプ(固定的で、新鮮味のない考え方)がある。

 実際にさまざまな人の運転を見てきたなかで、男女差ではなく

「個人差」

だと実感している人もいると思うが、このステレオタイプが今も日本で浸透しているのには理由がある。

 ひとつは、車の運転に関連する能力のひとつである、空間認知能力の問題だ。

・車線変更
・合流
・車庫入れ

など、苦手な女性が多いといわれる。

 男性の方が女性より空間認知能力が高いとされているが、その差は

「ジェンダーギャップが大きい国ほど顕著」

という研究結果が出た(リポート『Global Determinants of Navigation Ability(ナビゲーション能力の世界的な決定要因)』2018年9月10日付)。2023年のジェンダーギャップ指数が146か国125位(G7で最下位)の日本では、女性がそのステレオタイプに従い、

「無意識に自身の能力を制限している」

可能性がある。

車の設計問題も関与

車を運転する女性(画像:写真AC)
車を運転する女性(画像:写真AC)

 もうひとつは、車の設計の問題である。

 国産の軽自動車はユーザーの女性比率が高いので、一部は日本人女性の体格に合わせて設計されている。しかし全てではなく、軽自動車であっても、日本人男性の平均身長である170cmの人の体格に適したシート、視界、ハンドル位置、ブレーキなどが作られている。

 シートの位置など調整して使うようになってはいるが、海外展開している車種であれば、米国人男性の身長に合わせた設計になっているなか、特に小柄な女性にとっては使いにくさが出てくる。これも、女性の

「運転に対する苦手意識」

を作り出している原因のひとつだと、筆者(才田怜、ジェンダー研究家)は考えている。

 そういった背景もあるなかで、自動車メーカーは、女性ユーザーのニーズを満たすような製品開発と技術革新に取り組んでいる。

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