トヨタ出資の米「空飛ぶタクシー」試験飛行へ ANA連携で国内動向どうなる

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令和の今、eVTOLという「空飛ぶクルマ」の実用化が急激に現実味を帯びてきた。米エアベンチャー企業を支える国内3社の動向をたどる。

ジョビー以外にも実力企業

アーチャーアビエーションのウェブサイト(画像:アーチャーアビエーション)
アーチャーアビエーションのウェブサイト(画像:アーチャーアビエーション)

 さて、ここまではジョビーの機体についてその将来性を解説してきたが、実は米国にはもう1社、eVTOLの実機を完成させ事業運航を目指している企業がある。それは、アーチャーアビエーションである。

 同社の機体も2024年終わりには連邦航空局(FAA)滞空証明の取得を目指して開発は最終段階にある。

 機体自体はジョビーと同様Nナンバー登録されており、飛行試験を繰り返している状態だ。何よりも、この会社のジョイントパートナーは米航空大手ユナイテッド航空であり、最初のエアタクシーは、2025年以降にニューヨークのダウンタウンとニューアーク空港を結ぶルートでの開設が計画されている。

 既にユナイテッド航空はエアタクシー用に100機を発注済みともいわれている。ジョビーとANAとの関係と同様、大手航空会社が本格的に参入しているという意味ではこちらもビジネスとしては本気だ。

「特別滞空証明」を取得したジョビー

ANAのウェブサイト(画像:全日本空輸)
ANAのウェブサイト(画像:全日本空輸)

 こうした流れを経た2023年6月28日、ジョビーのeVTOLは待望のFAAの

「特別滞空証明」

を取得した。これによって機体は「エアタクシーとしての量産化を前提とした試験飛行」に臨むことが可能となる。

 ジョビーは既に米国でエアタクシービジネスを行う上での事業免許のひとつであるパート135エアキャリアサーティフィケートも取得済みである。ジョビーが事業化を目指すエアタクシーは、まずニューヨークのダウンタウンからJFK空港までを7分で結ぶルートが計画されている。

 エアタクシーやそれに準ずるeVTOLによる航空サービスは、かつて「空飛ぶクルマ」に夢をはせた昔の少年が思うよりもはるかに迅速なスピードで事業化に向けて動き出している。

 航空機産業に対して何かと寛容な米国とは別に、日本での今後の展開は今のところ未知数ではあるが、ANAの頑張り次第では、空港と直近の都市間が離れている――などのルートをメインに有効活用できるだろう。

 課題となるのは運賃だが、機体の量産効果次第では低く抑えることも難しくないだろう。理想をいえば運営が軌道に乗るまでは公的補助が欲しいところだが、それも含めて今後のなりゆきに注目したい新しいビジネスである。

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